kinesolo 2012年9月26日発売、TM NETWORKの木根尚登のソロデビュー20周年を記念して企画された、4枚のコンセプト別のベストアルバムの最終作。全12曲収録。

 TMバラードを集めてリメイクした「キネバラ」、2001年以降のソロ作品のベスト「キネベス」、提供楽曲のセルフカヴァー集「キネメロ」と来て、本作はソロデビューを果たした1992年から2000年までにEPICソニーからリリースされた楽曲を対象に、投票によって選ばれた上位12曲を再録音してランキング順に並べた「リメイクソロベスト」。なお、この時代のソロ楽曲のオリジナル音源のベストとしては、木根自身が選曲した「THE BEST OF NAOTO KINE 15 GOODIES」というアルバムが2000年にリリースされているのですが、本作との楽曲の被りは15曲中5曲と、比較的少なめ。デビュー曲「泣かないで」や、昼ドラの主題歌にもなった「もう戻らない」など、自薦ベストではなぜ選曲されなかったのかと不思議だった(笑)シングルも本作で晴れて(リメイクされていますが)収録されています。

 さてこの作品、エレキギターとエレクトリックピアノ、そしてパーカッションを軸に据えた編成でのリメイクが多いのが特徴です。木根尚登というとアコギ弾き語りのイメージがあるので、あまりアコギが活躍しないこのスリーピースは意外でした。オリジナル音源では生バンドでレコーディングされていた彼の代表曲「ホントの君 ウソの君」や「思い出はクレセント」などもかなりシンプルにアレンジされていて、一聴するとやはり地味なのですが、その歌声と共に、素朴で決して派手さはないものの、手堅いメロディーを紡ぐ彼のメロディーメイカーぶりがむしろ浮き彫りにされて、中には原曲よりも良いんじゃないかな?と思う曲もあり、TM時代から木根バラードを愛好する筆者としては楽しめる1枚でした。ただ、TMファン、特に小室サウンドのファンの方がメンバーのソロ作品を聴いてみたい、ということで木根作品に手を出す場合は、いきなりこの作品ではなく、先述の自薦ベストを聴いてみることをお薦めします。

 先日のニュースで2013年いっぱいでソロ活動を「充電」することを発表した彼。どうやら来年はTM30周年に専念する、ということのようです。TMメンバーの小室哲哉も宇都宮隆も療養が必要な病気の治療中、という心配なニュースも聞こえてきている昨今ですが、2014年には3人揃って、元気な姿でメディアに顔を出してもらいたいと願っております。

(2013/5/28 一部修正)