DEENAGE 2013年3月13日発売、DEEN結成20周年を記念した3枚組ベストアルバム。この20年間にリリースされたシングル全39曲、コンセプトマキシシングルclassics表題曲全4曲、その他アルバムの人気曲、さらに新曲を収録し、「究極のコンプリートベスト」と銘打たれた全49曲。

 DISC-1はデビュー曲「このまま君だけを奪い去りたい」から、最新シングル「心から君が好き〜マリアージュ〜」まで、DEENの十八番ともいえるバラードタイトルのシングル曲を収録した全16曲の「Ballad Memory」。「翼を広げて」や「JUST ONE」などの直球バラードから、「夢であるように」や「素顔で笑っていたい」といった少しテンポのあるバラードまでと、バラードオンリーながら曲調の幅は結構広い印象のディスクです。世間一般的なDEENのイメージはこのディスクに収められているのではないかと思うのですが、2001年を過ぎてからの(コラボや企画以外の)バラードシングルは最後の4曲だけ、というのが意外でもありました。

 DISC-2はバラード以外のシングル曲を収録した全17曲の「Groovin' Memory」。「瞳そらさないで」「ひとりじゃない」というビーイング王道サウンド、「君さえいれば」「手ごたえのない愛」でのロック路線、「Birthday eve〜誰よりも早い愛の歌〜」から始まるDEEN's AOR、そして新境地のダンスサウンド「coconuts feat.kokomo」「Brand New Wing」と、このディスクはDEENの音楽性の変遷が良く分かる1枚。最後に2000年代のヒットシングル「永遠の明日」を配置するのも良い曲順だと思います。また、後述しますが最新のリマスタリング効果なのか、各楽器の音の立ちが曲調と相まって最も良く聴こえるのがこの1枚。「レールのない空へ」のクリアになったベース音を聴いて心が踊ったのは管理人だけでしょうか(笑)。

 DISC-3はカヴァーシングルやコラボレーションシングル、classicsシリーズ、アルバム人気曲、そして新曲「言葉で伝えたくて」を収めた全16曲の「Special Memory」。「夢で逢えたら」(feat.原田知世)「Smile Blue」(feat.押尾コータロー)「Negai」(feat.ミズノマリ)等々、2000年代以降に盛んになった、ゲストミュージシャンを招いてのコラボシングルから、90年代の人気バラード「君の心に帰りたい」「思いきり 笑って」、武道館限定ソングの「歌になろう」まで、他の2枚と比べるといささかごった煮な印象を受けるディスクです(笑)。新曲「言葉で伝えたくて」は、まさに王道のDEENバラードといった趣きで、歌詞も受け取り方によっては送り手からリスナーへの感謝の言葉にも聴こえると思いました。ラストは「このまま君だけを奪い去りたい」のキセキversionで締めており、DISC-1の「このまま〜」のオリジナルで幕を開け、DISC-3の「このまま〜」のセルフカヴァーで幕を下ろすという構成がグッド。

 さらに、初回限定豪華版にはDISC-4として、「言葉で伝えたくて」のPV、そして、20年分のシングル全39曲を最新作からノンストップで遡ってダイジェストする約40分超の「DEENAGE MEMORY THE MOVIE 1993-2012」を収録した「Premium DVD」が付属。ダイジェストの方は、PV集などでコアなファンにとっては見慣れた映像ばかりなので、むしろライトリスナーの方に見てもらいたい映像かも。そして「言葉で伝えたくて」のPVは女子レスリングの吉田沙保里選手が出演ということでも話題になりましたが、DEENの三人もばっちり出演して、デビュー20周年を飾る感動的なクリップに仕上がっています。

 さて、本作においてマスタリングを務めたのはアルバムBOX「DEEN PERFECT ALBUMS+1」に続いて島田勝弘(ビーイング所属のエンジニア)。BOXに続いて丁寧かつ音像を立体的に再構築したリマスターは迫力が増し、こちらでも良い仕事をしてくれました。ここ数年のDEENはマスタリングに関してかなり試行錯誤していた節があるので、今後のアルバムもマスタリングだけはビーイングに協力を仰げばいいかも…などと思ってしまいました(苦笑)。
 15周年時にリリースした「PERFECT SINGLES+」(リミックスと思えるほど原曲と印象が異なる曲が多い)が微妙な立場になってしまうほど、DEENのデビュー20周年を総括するのに、内容的にも音質的にも決定盤的なベストが遂に登場ということで、今までのDEENの歩みを辿ってみたいリスナーの方々には迷わずこの作品をお薦めします。ただ、CD3枚組の大ボリュームということで、一気に聴くとお腹いっぱいになってしまうのは間違いないので(笑)、1枚1枚、じっくり時間をかけて聴いていただきたい、記念碑的な作品です。