dora 3月も終わりに近づいた頃になって、今年最初の「今週の1枚」というのは何だかな、という気もするのですが(苦笑)、久々に本カテゴリを更新させていただきます。
 野球世界一を決めるWBCも閉幕、いよいよ今月末からは日本のプロ野球ペナントレースが開幕ということで、今回の1枚は、中日ドラゴンズ球団公認のコンピレーションアルバム、「昇竜魂〜ドラゴンズ70thメモリアルソングス〜」。今からちょうど7年前、2006年3月24日発売にリリースされた2枚組アルバムです。

 愛知・名古屋に拠点を置き、常にペナントレース上位を維持し続ける中日ドラゴンズ。その歴史はかなり古く、球団が誕生したのは1936年。球史に残る名選手、名監督を次々と輩出し、21世紀に入ってからは5度のリーグ優勝、そして2007年には日本一を達成と、セ・リーグの常勝球団として知られています。今回ご紹介するこのアルバムは、球団創設70周年を記念して企画されたもので、「ドラゴンズ70年の歴史の中で生まれた音楽たちが、メモリアルを盛り上げるために奇跡の集結」を果たしたという帯の煽り文は伊達ではなく、発売はキングレコードなのですが、東芝EMIやコロンビア、ワーナーといった有名どころのレーベルから、インディーズレーベルまでの各レコード会社が協力体制を取ったという、まさに文字通りの「奇跡」の全34曲が集いました。

 まずはDISC1。こちらに収録された16曲は、全曲「燃えよドラゴンズ!」。大のドラゴンズファンであるシンガーソングライター・山本正之が手がけたこの有名曲、中日の公式応援歌というわけではないのですが(詳しくはこの辺りを参照)、「いいぞがんばれドラゴンズ 燃えよドラゴンズ♪」というフレーズは野球ファンならずとも一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。
 他球団にも看板ソングはありますが、この「燃えドラ」が他球団と一線を画すのは、何と言ってもその歌詞。筆者が一番なじみ深かった「燃えよドラゴンズ!平成FIVE」(1993年)を引用しますと、「一番 種田が塁に出て/二番 立浪ヒットエンドラン/三番 パウエルタイムリー/四番 落合ホームラン」と、歌詞に実際に活躍する選手が打席順に登場し、上記の歌詞四行でいきなり4点を取ってしまうという、非常にインパクト大かつ、これほどまでに覚えやすい球団応援歌を筆者は他に知りません(笑)。打順紹介が終わると、次は「エース今中 弓のよう/大将山本 槍のよう」「郭が踊ってお立ち台」といったエースピッチャーやリリースエース達の紹介、いぶし銀のベテランや期待の若手の紹介、さらに他球団を蹴散らし、最後は「祈る気持ちで待っている/それはひとこと優勝だ/守道監督の胴上げだ」で締める構成。12小節しかないシンプルなメロディーが延々と続くのですが、この歌詞のおかげで最初から最後まで、飽きることなく聴くことができる稀代の名曲だと思っています。

 この曲、オリジナルは1974年で、その年に活躍した選手が歌詞を彩るわけですが、当然ながら年によって選手の入れ替わりは起こるわけで、それに対応して歌詞(登場選手)も毎回代わるのが最大の特徴。1974年版で一番を打っていた高木守道が、先述の平成FIVE版では監督を務めていたり、平成FIVE版で四番を任されていた落合博満が、本CDの最新版「燃えよドラゴンズ!2005」では「オレ竜監督」というニックネームで(笑)登場したりと、まさに中日ドラゴンズの歴史と共に燃えドラは歩んできた!というその足跡を、本作では一気に味わうことができます。また、歌い手もオリジナルの板東英二から作者の山本正之、近年ではアニソンの帝王・水木一郎、今回のCDには未収録ですが舟木一夫や松平健といった中日ファンの有名どころが歌い上げ、アレンジも年によってトランペットが印象的な生バンドバージョンだったり、打ち込みシンセ主体のアレンジだったりと、年代や時代の移り変わりを感じることができます。個人的にはCBCアナウンサーである久野誠が歌うバージョン(「'88」「'91」「平成FIVE」など)が好きですね。彼の場合は本業を生かして、イントロで優勝の実況中継をやっちゃったりする辺りが非常にツボです(笑)。余談ですが、「燃えドラ」の歌詞やアレンジに関してはこちらのサイトが詳しくお勧め。
 惜しむらくは、今回の16曲でここまでにリリースされた「燃えドラ」がコンプリートされる訳ではない、ということ。中でも、優勝を果たした1999年に舟木一夫が歌った「燃えよドラゴンズ!'99」が未収録なのは版権の壁なのかもしれませんが、画竜点睛を欠く、とまでは言いませんが、この点は勿体なかったです。

 一方、DISC2の18曲は、「燃えドラ」以外のドラゴンズの曲を一気に網羅。球団公式ソング「ドラゴンズの歌」「勝利の叫び」はこちらに収録。こちらは「燃えドラ」ほどインパクトのある曲は残念ながらありませんが、「中日ドラゴンズ・マーチ」なるインストや、「中日小唄」「新・プロ野球小唄」などの小気味良い曲や、まさかのムード歌謡風(笑)「ドラゴンズに乾杯!」などが収録されバリエーション豊か。ここでも山本正之は大活躍で、中でも本人歌唱の泣きのバラード「竜の涙割り」は絶品(笑)。また、1997年に本拠地をナゴヤ球場からナゴヤドームに移した際に作られたものの、今イチ影の薄い(失礼!)公式応援歌「嵐の英雄(ヒーロー)」がしっかりと収録されたのは喜ばしいところです。

 …と、このようにドラゴンズの名曲(迷曲?)を熱く語ってきたわけですが、そんな筆者は実は20年来の横浜(現横浜DeNA)ベイスターズの大ファンだったりします^^;。ドラファンでもないのに熱く語って何だこいつ、と思われる方もいらっしゃるとは思いますが(汗)、これらの楽曲、特に「燃えドラ」が他球団ファンからも興味を持たれ、愛されているということでご容赦ください(笑)。さて、いよいよ来週の金曜日から開幕戦。いきなり横浜は中日とナゴヤドームで対決します。2013年ペナントレース開幕に相応しい試合になってくれることを期待です。