inokasira 2012年9月5日発売、タイトル通り、同年2月29日にライブハウス・下北沢GARDENにて敢行された井乃頭蓄音団のライブを収録したDVD+CDの2枚組。

 井乃頭蓄音団とは、松尾遥一郎率いる五人組フォークロックバンド。2008年に結成され、可変的なメンバーでの活動を経て現在の形態に。人間誰もが持つ(?)汚い、隠しておきたい淫らな部分を赤裸々に綴るというインパクトのある歌詞の楽曲が特徴であり、結成から数年間は自主制作盤として如何にもアングラな販売物(数曲入りのCD+公園らしき場所で撮った小芝居映像入りのDVDとか)を売り歩いていたようですが、2010年に「いのかしらレコード」を立ち上げ全国流通盤のフルアルバムを発売。そして今回は初のライブ映像作品ということで、ライブ全編(約50分)を収録したDVD、同内容のCDを同梱という形でのリリースとなりました。DVDとCDの収録曲は同一ですが、DVDにはCDではカットされた寸劇風MC(笑)やメンバー全員による副音声コメンタリー、公演当日のリハーサルや楽屋風景を収録した特典映像(約12分)が含まれており、メインはDVDの扱いとなっているようです。

 さて、早速鑑賞してみると、初っ端からツインギターを活かしたロックなアプローチのバンドサウンドが炸裂。中でも「デスコ」「ライバル」はサウンド的に格好良くてちょっとびっくり…とはいえ、歌われている中身は従来通りの井乃頭蓄音団。まあ一言でいうと「俺ってこんなにダメ人間なんです」みたいな情けない心情の吐露がフォーク調のメロディーに乗って切々と歌い上げられる、自虐全開の私小説風の歌詞。これがとにかく痛い、痛すぎる^^;。「帰れなくなるじゃないか」や「親が泣く」などに自分自身を重ね合わせるリスナーもいるのではないでしょうか(←含む筆者)。間奏でテクニカルな演奏を決めているのに、歌が始まると…という曲も多く、フロントマンたる松尾の独特なパフォーマンスには失笑を禁じ得ない部分もあるのですが、それがまたユニークでもあり。ライブDVDとしては時間は短めではあるものの、濃厚な井乃頭エキス(何だそりゃ)の詰まった作品であり、彼らの魅力を伝えるには最適なアイテムと言えると思いました。

 …お伝えしてきたように、はっきり言って聴き手を選ぶアーティストであるので、一概にお勧めはできない内容なのですが、その良くも悪くも「リアル過ぎて気持ち悪い」作風を経験してみたい方は、CDのみですがレンタルを取り扱っているお店もあるようなので、まずは是非、レンタルを(笑)。