balladon 2012年12月19日発売、いきものがかりのバラードベストアルバム。最新シングル「風が吹いている」を含む全13曲。初回仕様盤にはマフラータオルが同梱。

 2010年11月のベストアルバム「いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜」から2年あまりでのベスト盤リリース…というのは、レコード会社の都合なのか?と要らぬ勘繰りをしてしまいそうなペースの早さではあるのですが(苦笑)、本作は記念すべきデビューシングル「SAKURA」、朝ドラ主題歌として毎朝お茶の間に流れた「ありがとう」や、NHK合唱コンクールの課題曲「YELL」、そして2012年のロンドンオリンピックを彩った「風が吹いている」等々、彼らの代表的バラードシングルを選りすぐって1枚にまとめた内容になっています。

 初収録曲は二曲。ひとつは「歩いていこう」のイントロにピアノを追加したバージョン。そして「風が吹いている-UK recorded version-」は、その名の通りイギリスにて外国人ミュージシャンを従えての完全新録バージョンで実に9分超(!)という、さらにスケール感を増したアレンジに。これが1曲目に配置されているので、聴き始めた途端クライマックス突入という気持ちになってしまったのですが(笑)他のバラード曲は、比較的テンポもバラけており、それぞれにバンド感が出ている曲がほとんどなので、同じようなまったりバラード連発、というわけではなく、また、大多数の曲がヒットを記録したシングル曲(アルバム曲は2曲)ということもあってか、どれもインパクトの強い耳に残るしっかりとしたメロディーの曲が満載ということで、CDの収録時間ギリギリ79分を使った内容にもかかわらず、最後まで中弛みすることなく聴き終えることができました。

 前ベスト「いきものばかり〜」とは7曲が被っているものの、あちらは2枚組全31曲で160分近く、ということで、その時点での彼らのキャリアから見れば明らかに選曲しすぎのベストで、あの大ボリュームは筆者にとっては正直キツかった(苦笑)という経験があるのですが、それと比較すれば本作はバラードに限定されているものの、CD1枚でのシングルヒット集としての側面も持っているので、近年の「いきものがかり=バラード」的な印象を持つライトリスナー向けの入門的な作品としては、良い線を行ってるのではないかと思います。