ISHIKAWABEST 2012年9月5日発売、TSUTAYA限定販売の999円の廉価盤ベスト「The Best Value」シリーズの1枚としてリリースされた、石川よしひろの通算3枚目のベストアルバム。全15曲収録。ちなみにジャケットは3rdオリジナルアルバム「青空を待ちながら」のジャケット写真をそのまま流用しています。

 2000年代以降はインディーズでの活動になり、若い音楽リスナーには知名度がイマイチのような気もしますが(汗)、彼は90年代初頭〜中盤あたりの日本の音楽シーンで人気を博した男性シンガー。オールナイトニッポンのパーソナリティーを長年務めていたこともあるそうで、当時の中高生を中心に根強い支持を誇っていました。本作はそんな彼がかつて在籍したPIONEER LDC.(現ジェネオン)時代に残したナンバーの中からの選曲。帯にセルフセレクションと書いてある通り、彼自身の意見が反映されているようです。

 PIONEER在籍中にリミックスベスト、そして移籍後に全シングル13曲をオリジナル音源で収めたベストアルバムが既に2作出ているのですが、今回は在籍中のシングルから10曲を時系列順に並べた後で、初期〜中期にかけてのアルバム曲を5曲配置という構成。デビューシングル「Spirits」、甲子園関係のテーマ曲としてオンエアされた熱いロックナンバー「どしゃぶりの夏」「明日への卒業」、名バラード「いつかまた会える」、色々な意味で当時話題になった(苦笑)「二十歳の夜」、最大ヒットの「ENDLESS DREAM」と、PIONEER時代の彼の代表曲を一通り押さえつつ、ライブの定番曲「Just Only Love」や、この曲が収録されたのが個人的に嬉しい(笑)「Still On The Beach」、ラストはデビューアルバムのタイトル曲「Dream Road」で締めるという、ファンにとってツボを心得た選曲となっています。
 さすがにこの価格でリマスターはされていないと思われ(音量は発売時の音源より若干大きめ)、恐らく当時の音源のまま収録されているのだと思いますが、彼の作品は生音メインの骨太ロックナンバーが主体なので、音質的には90年代のミックス具合が若干気になるものの、「その時代の音」といった古臭さはほとんど感じずに最後まで聴くことができました。

 「最強のベストを価値ある価格で!」というキャッチコピーのこのシリーズ。確かに素晴らしい選曲ではあるのですが、過去のベストとも曲がかなり被っているので、今回のベスト、仮に3,000円とかだったら石川ファンの筆者でもさすがに購入には至らなかったとは思いますが(←おい)、この値段なら「代表曲一曲ぐらいは知ってるけど…」といったライトリスナーの方に対しては彼の90年代の活動を十分に知りうることができる良盤だと思います。この調子で、未だにベスト未発売のメジャー時代後期のファンハウス〜ポニーキャニオン時代を総括した作品も出してくれれば嬉しいのですがねぇ…。