trf20 2012年11月21日発売、来年のデビュー20周年を記念してのTRFの四ヶ月連続リリース企画の第1弾。デビューシングル「GOING 2 DANCE」から最新シングル「Memorial Snow」までの全シングルのA面曲(両A面タイトルの2曲目を除く)を時系列順にオリジナルバージョンで収録+新曲「EVERYDAY」をプラスした全32曲を収録したCD3枚+メンバー選曲によるライブ映像を収録したDVDが付属する4枚組と、CD3枚組のみの二形態でのリリース。

 Disc.1は1993年〜1995年、「GOING 2 DANCE」から「Happening Here」までの全12曲。気合の入った小室の楽曲制作と熱心なプロモーションの成果もあり、「EZ DO DANCE」を皮切りに大ヒット曲を次々と世の中に送り出し、「BOY MEETS GIRL」や「CRAZY GONNA CRAZY」といったミリオンセラーを連発するなど、セールスがピークを迎えたあたりまでの楽曲を収録。デビュー当時のコンセプトだったフロア向けのテクノサウンドから、「寒い夜だから…」あたりから大衆向けのポップサウンドへとシフトしていく音楽性の変遷が見受けられたり、ユニット自体も初期は匿名性が強く、メンバーも流動的だったりと、試行錯誤を経ながらJ-POPシーンを席巻していったこの時期の曲は勢いに溢れており、今聴いてもかなりのクオリティの高さを感じさせる曲が続くということもあって、本作中、筆者のこのディスクのリピート率はかなり高いです(笑)。

 Disc.2は1996年〜1999年までの全シングル13曲を収録。ユニット名が大文字に変更になった「Hey!Ladies & Gentlemen」以降は実験的な楽曲を連発。TKブーム真っ盛りの当時、globe、安室奈美恵、華原朋美が大ブレイクし、それに押し出される形でTRFのセールスは後退していった時期なのですが、今改めて聴くと小室が手を抜いている、という印象は受けず、売れ線以外でのTRFのアプローチに腐心していた様子が伺えます。結局小室プロデュースは1996年末の「LEGEND OF WIND」で終了、1年のブランクを置いて「Unite! The Night!」からは富樫明生や原一博、木村貴志といった外部作家陣による楽曲提供を受ける形となり、小室色が薄れ、一気に「avex勢」というポジションに落ち着いてしまったかな、という印象。とはいえ、TK時代には見せなかったフェミニンな「Frame」や、壮大なバラード「JOY」など、佳曲も散見されます。しかし1998、1999年の2年間でシングル8枚って多すぎるだろ^^;。

 Disc.3の表記は2000年〜2012年とありますが、実質は長らくのリリース停止期間を経ての再始動シングル「Where to begin」が2006年、最新シングルの「Memorial Snow」は2009年リリースなので実質は3年間の活動でのシングルは6曲。この時期は原点回帰を図ったのか、外部提供は続くものの、ブレイク期の音楽性を再現したかのような勢いのある曲が並んでいます。久々の小室曲「We are all BLOOMIN'」よりも他の作家が手掛けたナンバーのほうが「TRFらしい」というのも皮肉な話なのですが(苦笑)、中でも「Silence whispers」はかなり魅力的。そして新曲の「EVERYDAY」は実に16年ぶりの小室哲哉プロデュース作品(「We are all〜」は楽曲提供という扱いらしいです)。小室なりの「最新TRF」としてプロデュースしたのか、懐古的というよりも、次の活動に繋がりそうなナンバーで好印象でした。

 DVDは歴代のツアービデオ(DVD)からの全20曲の選り抜きライブ映像集…なのですが、曲目を見るとマニアックな曲が並んでおり、一見すると「?」という感じ。ライブ中のダンスパフォーマンスを中心にセレクトされたラインナップのようです。歌モノは極端に少なく、チラホラ入っている代表曲に関してもダンスを前面に出したものが多いですが、これがなかなか見応えがあります。CD音源では発揮できなかった「ダンサーが3人いる」というユニットの独自の利点を活かした視覚的効果を、コアな選曲でも楽しむことができました。それとは別に「WORLD GROOVE 3rd Chapter」はやはりライブ映えのする名曲だと改めて再確認。

 TRFは1998年にTK時代を総括した「WORKS」、2007年に15周年記念のオールタイムベスト「MEMORIES」をリリースしており、本作とは選曲の大部分がダブってしまうのですが、本ベストは他の二作とは異なりリリース順に楽曲が並べられていることもあり、楽曲の変遷が一番分かりやすいという点、また通して聴いても聴き疲れしないリマスタリングの良さも相俟って、初めてTRFを手に取るリスナーには最適なアイテムではないでしょうか。さらに、どうせ購入するのなら+500円で彼らのライブを堪能できるDVD付の形態を強くお薦めいたします。