hatatomorrow 2012年10月31日発売、秦基博名義では通算13作目となるニューシングル。初回限定盤はDVD「HATA MOTOHIRO LIVE SELECTION 2012」が付属の2枚組仕様。

 EP盤「エンドロール」、そして秦基博 meets 坂道のアポロン名義の「アルタイル」と、今年はコンセプトシングルが続いた彼ですが、本作は去年6月の「水無月」以来の通常シングル。表題曲「Dear Mr.Tomorrow」のサウンドプロデュースは彼自身が務めています。淡々と綴られる街の情景を描いた平メロと、明日への希望を込めたサビというシンプルな構成な上に、アコギ以外はすべて打ち込み(と思われる)で、サビは彼らしくドラマチックに歌い上げられているのですが、オケがそれに付いていっていない…というか、言い方は悪いですが出来の良いデモをそのまま採用したようなテイクで、詞曲とアレンジの温度差がやけに気になりました。従来のようにバンドアレンジでドカンと盛り上げたほうが彼の曲らしい、とは思うのですが、初のA面セルフプロデュースということで、試行錯誤が見られる楽曲です。
 一方でカップリングの「月に向かって打て」はおなじみ島田昌典氏プロデュースで定番のバンドサウンド。社会人4年目の男のぼやき歌(笑)なのですが、タイトル通り野球と絡めた歌詞の表現は面白いです。華やかさはないですが、タイトル曲と同様タイアップも付いているので、両A面でリリースしても良かったかも。
 そして3曲目は、2011年の5周年記念ライブのテーマ曲として書き下ろされた「you and me -5th anniversary-」というアコギのインストナンバー。雰囲気的には「Theme of GREEN MIND」を彷彿とさせる短めのインストです。これはシングルのボーナストラックといったところでしょう。こちらもプロデュースも秦本人になっています。次回作のアルバムはもしかしたら彼のセルフプロデュースになるかも。

 DVDは今年行われた秦基博の出演ライブの中から、オーケストラ隊を従えてのライブ、弾き語りライブ、アコースティックユニットでのライブ、そしてフルバンドのライブを各1曲ずつ収録+岩手・平泉の緑に囲まれての「Theme of GREEN MIND」の生演奏映像を収録した約25分。中でもボサノバ風にアレンジされた「トレモロ降る夜」が出色。秦以外の演奏メンバーがすべて異なる面白さもあり、曲数は少ないながらも充実した内容です。ということで、購入するなら初回限定盤をお薦め。