今年も10月に突入。連日暑かった夏もようやく終わりを告げて、少し遅いですが秋の到来を感じる今日この頃。秋といえばスポーツの秋、ということで、少々苦しい導入ではありますが(苦笑)、今回の「今週の1枚」はモータースポーツに材を採ったTVアニメーション「新世紀GPX(フューチャーグランプリ)サイバーフォーミュラ」のアルバムをご紹介いたします。この時点でお察しの方もいらっしゃると思いますが、今回はマニアックなレビューですよ(笑)。「ガンダム」シリーズでお馴染みの、サンライズ製オリジナルアニメーションの本作は、1991年の3月から12月までの期間に全39話で放映された、いわゆる「レースものアニメ」。西暦2015年を舞台に、世界グランプリを目指すチームのマシンの専属レーサーに、ひょんなことから登録されてしまった(←この辺、ガンダム的ですね・笑)14歳の少年・風見ハヤトが、チームスタッフとの群像劇、ライバルチームとの争い、そしてワールドチャンピオンシップを戦いながら成長していく物語。TVシリーズ終了後も翌1992年から「11(ダブルワン)」、1994年から「ZERO」、1996年から「SAGA」、そして1998年から「SIN」と、OVAシリーズを長きにわたって展開された人気アニメでもあります。…の割に現在においての知名度はマイナーな気もするのですが(汗)。
閑話休題、シリーズを重ねば当然のようにオープニング、エンディングといった主題歌も変更されるわけで、サブ作品として展開されたラジオドラマCD、さらに出演声優が歌ういわゆるキャラクターソング集も含めれば、かなりの枚数のCDがリリースされた作品でもあるのですが、今回ご紹介する「Memories」は、TVシリーズ、「11」、「ZERO」、そして1995年までのラジオドラマシリーズの主題歌・挿入歌を一堂に会した2枚組のコンピレーションアルバム。発売は1996年9月26日で、そのひと月前から、スタッフやレコード会社が変更になった新OVAシリーズ「SAGA」がスタートしたという経緯もあり、本作はアーティスト風に言うならば「移籍後に前のレコード会社主導でリリースされた企画ベスト」といったところでしょうか。
ディスク毎に紹介していくと、まずDisc1は原点のTVシリーズから主題歌・挿入歌を3曲収録。通常のアニメ作品ではオープニングテーマが作品の看板になるところですが、本作ではエンディングテーマ「Winners」が看板曲。放映当時のシングルCDでもオープニングの「I'll Come」がカップリング扱いだったのはかなり珍しいケースでした。どちらも職業作曲家として活躍している中崎英也が参加。歌詞も「人の瞳が背中についてないのは/前に向かい生きてゆく使命があるから」「今が苦しいからこそ/明日が輝くのさ」といった、熱く前向きなメッセージソングはいまだに心に響くものがあります。演奏は発売前年にメジャーデビューしたガールズロックバンド、G・GRIP。作風はPRINCESS PRINCESSとLINDBERGを足して2で割ったような、当時の音楽シーンを意識したバンドで、オリジナルアルバムも1枚リリースしているのですが、なんと彼女達、本放送途中に解散してしまったそうです…。
続いてOVAシリーズ第1弾の「11」。舞台は2016年の世界グランプリ。前年に見事ワールドチャンピオンに輝き、挑戦者から一転、追われる立場になった風見ハヤトの前に立ち塞がるライバルとの戦いを描く全6話。本CDには主題歌、挿入歌含めて6曲が収録。前述の通りのストーリーで、「サイバーフォーミュラ」史上最もスポコン色の強い(笑)作品に因んでか、ヴォーカルを務めるのはハスキーで骨太な歌声を聴かせるダイナマイト・シゲ(茂村泰彦の変名)が中心。アレンジもギタリストの山口英次が全曲を務め、エレキの音を中心に据えたロック色で統一されています。オープニングテーマ「DREAMERS ON THE ROAD」、最終話のエンディングテーマ「BORN TO BE CHAMP」などアップテンポの曲が目立ちますが、挿入歌としてミディアムの「FLAME!」、バラードナンバーでその名も「バラードのように…」といった作品もあり。ちなみにこの2曲はダイナマイト・シュウ、ダイナマイト・シンがそれぞれ歌っているのですが、彼らの正体をご存知の方はご連絡ください(笑)。
CDドラマ、ラジオドラマのテーマソングを挟んで、Disc2のメインはOVAシリーズ第2弾の「ZERO」。2017年〜2018年が舞台で、レース中に大クラッシュを起こして重傷を負い、一度はサイバー界から引退した風見ハヤトがレースに復帰、タイトル通り「ゼロからの再出発」、そしてレース中に目覚めた知覚の限界領域「ZEROの領域」を使いこなしていく姿を描いた全8話。こちらも「11」と同じく、主題歌、挿入歌を含めて6曲が収録されているのですが、ロック色の濃かった「11」を一部引き継ぎつつも、主題歌「WIND IS HIGH」を歌うのが女性シンガーの木下ゆみ(元G・GRIPだそうです)ということもあり、ポップロック寄りの作風にシフト。歌詞のテーマも「挫折からの再生」を描いたものが多いような。前作でメインだったダイナマイト・シゲも挿入歌で2曲歌っていますが、アレンジャーとしても5曲参加しており、自ら歌う「BE TOUGH」はスピード重視のロック、大木理紗がヴォーカルを担当した「風の贈り物」は穏やかなガールポップと、この人のアレンジはかなり幅広いです。最終話のエンディングテーマ「BRAND NEW DREAM」では久々に中崎英也が作曲として登場し、大団円的にシリーズが締めくくられています。この後もまだ2作OVAシリーズは続くわけですが、個人的にはキャラクターデザインや脚本家、音楽担当までもが大幅に変わったこれ以降のシリーズとは、ここでひとつ線を引く感じかな、と思います。
なお、本作にはボーナストラックとしてDisc2の最後に出演声優陣による「Winners」の大合唱バージョン(サイバーFRIENDS名義)が収録。これはG・GRIPバージョンのカラオケを使って歌っているという、あまり捻りのないものなのですが、アルバム初収録とのことで、ある意味貴重な音源であり、コンピレーションアルバムの意義はこういうところにあるのかも。長期にわたるシリーズの(この時点までの)主題歌を纏めて一作にした、というのは、商業的な見地から出たものなのかもしれませんが、全てのサントラやシングルCDを買うことが出来なかった身としては、大変嬉しい作品でもありました。
…さて、このアニメに詳しくない方がこの記事を読んでどう思うかはさておき(汗)、今回この作品をレビューした理由のひとつに、来月11月、OVA全4作品を収録したBlu-rayボックスの発売があります(TVシリーズは既に昨年末にBD化済み)。筆者としてはこの「Memories」を聴きながら発売を楽しみに待っている今日この頃。そして願わくば、本作以降の「SAGA」「SIN」の主題歌・挿入歌をまとめたCDを発売してほしい、というささやかな希望をここに記しておきたいと思います。あ、その前にこのCDの再発かな(現在廃盤らしい)。もう願望だらけのアニヲタで申し訳ありません^^;。
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