DEENMARIAGE 2012年8月8日発売、DEENの通算12枚目(サマーアルバム「クロール」を除く)のオリジナルアルバム。完全新作「マリアージュ」と、セルフカヴァーアルバム「Triangle Cover Version」の2枚組の通常盤、そしてライブDVD+豪華装丁の初回生産限定盤での2形態での発売。今回レビューするのは初回生産限定盤のほうです。

 DISC1、「マリアージュ」はDEENのメンバー三人だけの音で作り上げた(ダビング等はかなりありますが「三人の手で」という意味でしょう)オリジナルアルバム。シングル「心から君が好き〜マリアージュ〜」を含む全11曲収録。
 今回は作詞担当として樹林伸が4曲参加。既にシングルで2曲参加していたので新曲としては2曲(「神の雫」と「ハリネズミのジレンマ」)提供なわけですが、この2曲はかなり独自性が強いというか、色々な意味でDEENらしくない歌詞(笑)というのが正直なところ。また、前作「Graduation」では若々しい歌詞を書いていた池森秀一の作詞が今回は少し大人びた歌詞になっているのは「マリアージュ」というアルバムタイトルに引っ張られてのものかも。
 楽曲は田川伸治が7曲、山根公路が4曲と、今までにない作曲バランス。コンセプト上アコースティック調のアレンジが多く楽曲的には変化を付けにくいところを、田川アコギソロ曲、山根ヴォーカル曲でバラエティ感を出そうとしているのかな、というのがアルバム一枚を通した感想です。突出した「このアルバムはこの曲!」といった曲はないのですが、聴き込むと良さが出てくるようなスルメ的なアルバムのような印象を受けました。

 DISC2、「Triangle Cover Version」は「マリアージュ」同様三人の音で再録された全10曲収録のカヴァーアルバム。「キセキ」やclassicsで既にカヴァーされた曲が10曲中8曲もあり、特に「瞳そらさないで」はもう何度目のセルフカヴァーか、という気がするのですが(笑)、どの曲も基本的には原曲のアレンジを重んじたアコースティック・カヴァーといった感じ。初カヴァーの「哀しみの向こう側」はエレピの音の効果もあって、なかなかの好作品。どの曲も外れなし、なのですが、せっかくの機会なんだからライブのアコースティックコーナーでリアレンジされただけで音源未発表の作品(特に「JUST ONE」あたり)も音源化すれば良かったのに…と思うのは筆者だけでしょうか(苦笑)。

 DISC3は今年の1月に行われたライブツアー「DEEN LIVE JOY-Break16〜Graduation Party〜」の最終日、ZEPP TOKYO公演での模様を収録したライブDVD。MCなどはカットされているものの、アルバムに同梱されるライブDVDでひと公演の全演奏楽曲が完全収録されるのはこれが初めて。「心から君が好き」(池森単独作詞バージョン)も収録。また、SEの流れるオープニングや転換のシーンも省略されずに収録されており、チャプターも丁寧に分割されてあるなど、単品販売で発売されてもおかしくないレベルの内容です。
 ライブ本編のほうは当時の最新アルバム「Graduation」を引っ提げての全国ツアーということもあり、アルバム11曲中から10曲を演奏。LIVE JOYを意識した作りだと思われる「Graduation」からの曲はどの曲もライブ映えする曲が多いです。その他はヒット曲を中心に新旧の定番メニューを揃えたいつも通りの楽曲が並ぶのですが、「このまま君だけを奪い去りたい」は久々にキセキバージョンで演奏されるなどある程度変化を持たせたメニュー。女性ダンサーを引き連れての池森のダンスシーンや、アンコールでの上海ロックスターがまさかのカラオケネタライブ(笑)など、新しい試みも行われ、ライブタイトル通り「パーティー感」の強い楽しい内容の公演だったようです。個人的にはアコースティックコーナーの「セレナーデ」が一押し。

 ところで、この初回生産限定盤はアルミ製ケースに入って定価8,400円という高額アイテム。3,990円の2枚組CDに4,430円のライブDVDをセットにした…と書けばそこそこの値段設定のようには見えますが(笑)、ライブDVDは単品では販売されないために「ちょっとDEENのライブ観てみたい」と思うようなライトリスナーにとっては敷居の高すぎる価格な点は否めません。筆者はコアなファンなのですが、それでも高いと思いネットで2割引で購入してこれぐらいが妥当な値段かな、と思ったぐらいです(笑)。作品内容は悪くないだけに、最近のこの販売形態、価格設定、DEENデビュー20周年に向けて再考していただきたいところです。