dualholiday 本ブログ開設以来、断続的にレビューしてきた「今週の1枚」。4年と5ヶ月を要して(苦笑)今回の更新で60回目の節目を迎えました。メモリアルな回数に達したわけですが、いつも通りに管理人のお薦めアルバムをピックアップしてお送りいたします。この度ご紹介しますのはDual Dreamのアルバム「HOLIDAY」。1995年3月16日発売。

 小島健二(Vo)・西山誠(G)のポップユニットとして結成され、ポリスターから1990年にデビューを果たしたDual Dream。初めて筆者が彼らの名前を知ったのは1992年頃。KANがパーソナリティーを務めるFM番組の中でミニコーナーを担当してしていたのが彼らでした。当時のシングル「雨に激しく」をその番組で聴いた記憶があるのですが、当時はそれほどひっかからず(おい)、やがて番組が終了し、彼らのことはしばらくノーチェックでした。
 再び彼らの名前を聞いたのは1994年初頭。森口博子 with Dual Dream名義でのシングル「Let's Go」が「夢がMORI MORI」のオープニングテーマに起用され、続いて冬季オリンピックの応援ソング「そして冬が来る日に」がリリースされた頃。この間、レコード会社をキングレコードに移籍、西山誠の脱退、小池道昭(Vo&Key)の加入と、かなり激動の時期だったようです。そんな荒波を乗り越えてヒットシーンへの足がかりを掴んだ彼らは、同年冬、冬季限定ビール「冬物語」のCMソングとして起用された「Winter Kiss」がスマッシュヒット。大手音楽番組に出演するなど知名度を上げ、翌年に上記シングル3曲(「Let's Go」はセルフカヴァーバージョン)を含んだフルアルバムである本作「HOLIDAY」をリリース。ちなみにフルアルバムとしては通算2枚目、ミニアルバムを含めれば通算3枚目となるオリジナル作品でもあります。

 さて本作は、ミニアルバムである前作「HANDS」の路線を引き継ぎつつも、よりポップな方向に移行し、風通しの良い雰囲気を感じる作品。プロデューサーが槇原敬之の第1期ワーナー時代を担当した木崎賢治、ということもあり、かつて大江千里、そしてKANが開拓し、マッキーが根付かせていった「誰の身近にもいそうな生活感のある、ちょっと弱気な主人公男性の独白」的な作品、ジャンルで言えば当時全盛のガールポップに倣って名付けるのならばボーイポップ(?)なナンバーがずらりと並んでおります。「君」に逢いに行く途上の出来事や、今までの回想を歌った「Winter Kiss」、良い所だけではなくダメな自分も見てほしい、そして二人で季節を一緒に乗り越えようという「はじめて君が来る」(本作と同時発売のシングル)、同一のテーマですが今度は「君」の弱さも受け入れたい、と願う「心 開いて」、別れてしまったけど新しい道を進もうと決意する「さよならからはじめよう」、そして「君」と過ごす時間をいつも大切にしたいと静かな決意を綴るタイトルチューン「Holiday」等々、90年代中盤、確実にニーズのあったこういった歌詞の路線、ポップなメロディー、全編耳当たりの良い打ち込みを含んだバンドサウンド、そして小島・小池両氏の爽やかなハーモニーと相俟って、当時高校生だった筆者も胸を締め付けられながら(笑)ヘビーローテーションで聴いていたことを思い出します。さすがに発売から17年を経た今、改めて聴くと、マッキーやKANの曲に含まれるような捻くれ感や毒みたいな要素がない分、良い意味での蒼さが眩しすぎる感もあり、青春時代を思い出す1枚になりましたが…。

 キングレコード移籍前のシングル「だいじょうぶ」とそのカップリング「大切な君」(旧メンバー西山誠の作曲作品)も収録されていたりと、小島・小池体制になる前のDual Dreamの作品が一部含まれていることもあり、「Winter Kiss」のヒットを受けての急ぎのアルバム制作だったのかも、と邪推したくなる点もあるにはあり、純粋な意味でのオリジナルアルバムの完成度という意味では次回作「BOY'S SIDE」のほうに分がある感があります。ですが、「Winter Kiss」で彼らに興味を持ったリスナーにとっては、期待通りの作風の楽曲が並んだ好盤だと思います。
 …さて、その後のDual Dreamについても少し。同年の秋にNHK朝の連続テレビ小説の主題歌として「I Say Hello」が起用されて少し話題になった後は、徐々に活動そのものが緩やかになり、2000年と2006年にアルバムをリリースしているものの、小島健二はソロ活動やプロデュース業、小池道昭もソロに加えて後進の指導にあたっているそうで、実質活動停止状態だそうです。ただ、根拠は全くありませんが、6年周期でアルバムが出ているので、今年あたりまた活動再開と称してリリースされないかな?と淡い期待を抱いております(笑)。