yuzuyou 2012年4月25日発売、ゆずの「Home」「Going」「ゆずのね」に続く通算4作目のベストアルバム。全16曲収録。初回盤は36ページオールカラーブックレット同梱の初回限定パッケージ仕様。

 サブタイトルに【2006-2011】と書かれていますが、実際の収録時期は2005年末の「超特急/陽はまた昇る」から、2011年の「Hey和」まで、つまりオリジナルアルバム「リボン」「WONDERFUL WORLD」「FURUSATO」「2-NI-」4作の収録範囲にリリースされた全シングル曲(両A面の「マイライフ」と、ゆず名義以外のコラボシングル除く)、2007年にリリースされた映画のサントラシングルCDから「明日天気になぁれ」(後に「WONDERFUL〜」に収録)、そして代表曲「栄光の架橋」のフルオーケストラバージョン、さらに北川悠仁が関ジャニ∞に提供した「T.W.L」のセルフカヴァーバージョンを含む、CDの容量ギリギリまで収録したボリュームたっぷりのベストアルバム。ちなみに「2-NI-」以降の配信、発売されたシングル「LOVE&PEACH」「翔」は未収録なのでご注意。

 「Home」「Going」のベストアルバム直後から、2011年頭までのゆずの表立った活動をざっと振り返ることのできるここ5年間の入門編に相応しい内容。長らくタッグを組んでいた寺岡呼人との共同プロデュース楽曲が徐々に減り、その分、外部のアレンジャー、プロデューサーとのコラボを積極的に進めていき、結果、蔦谷好位置とゆずの新たなパートナー関係が極まった、というのがこの時期の彼らへの印象。蔦谷&ゆずが本格的にコンビを組んだ「シシカバブー」「いちご」「虹」といった「FURUSATO」期のシングル群は今聴いても新鮮で、この組み合わせがゆずの作品の幅を大きく広げたことは間違いないと思います。更にスケール感を増して世界平和にまで行き着いてしまった「Hey和」まで行ってしまうとさすがに壮大すぎてちょっと…という気もしますが^^;。
 一方で、従来のゆず的なアプローチが色濃い寺岡&ゆず期のシングル「南風」や「陽はまた昇る」なども収録されていて、本作の中盤〜終盤あたりでこれらの作品が出てくるとほっとすると言いますか、良いアクセントになっています。「昔ながらのゆず」と「現在進行形のゆず」を1枚で楽しむことができて、80分近い収録時間でも1枚通して中弛みもなく聴くことができました。

 なお、本作に初収録されたのは「栄光の架橋〜Symphonic Orchestra Version〜」。北京でレコーディングされた中国国立交響楽団の演奏によるオーケストラバージョン。アコギ以外は完全なオーケストラ編成で、バンド+ストリングスアレンジだった原曲よりも更に壮大なアレンジ。もう1曲の「T.W.L〜Y.Z.ver.〜」は対照的に打ち込みメインのアッパーなアレンジ。両方ともゆず単独名義のプロデュースなのですが、これらの2曲はSPECIAL TRACK扱いということで、今後のゆずを占う云々、ということではなく、ベストならではの特典といったところでしょう。

 余談ですが、初回盤のブックレットは歌詞の他にはフォトにイラスト、そしてこの時期のディスコグラフィーが載っているぐらいで、ベストならではの楽曲解説などは一切無しなのが残念。まあ通常盤と値段も同じだし、あまり期待していなかったのですが(おい)結構肩透かしでした。とはいえ、ゆず入門編、またはオリジナルアルバムへのガイド、という意味では良いアルバムだと思います。