SUEMITSUFROM 2012年4月4日発売、ソロプロジェクトSUEMITSU & THE SUEMITHの名前から本名の末光篤名義の活動にシフトしての2ndミニアルバム。配信シングル「I Novel」、先行シングル「Butterfly」(木村カエラへの楽曲提供曲のセルフカヴァー)を収録。初回限定盤は全8曲+MUSIC CLIP2曲が収録されたDVDが付属。通常盤は全9曲収録。今回レビューするのは通常盤のほうです。

 前作「Dear Grand Piano」から約五ヶ月ぶりの本作は、ジャケット、CD盤面、ビニールに貼っているシールまで(笑)徹底して前作の「黒デザイン」と完全対照の「白デザイン」仕様。本人のインタビュー記事でもありましたが前作と本作で「2枚で1つの作品」という感じなのだそうです。なので、SUEMITSU〜時代の爆音ロックサウンドから一歩引いた聴きやすいピアノロックサウンド、分かりやすくなった歌詞、エフェクト等を多用しなくなったヴォーカル処理など、基本的には前作と雰囲気が似ていますが、違う点を挙げるとすれば、「Reach」や「Rock 'n ' Roll Let Me Down」など、前作よりもノリの良い曲が多いのと、これはSUEMITSU〜時代の名残か、やたらキメの多いバンドアレンジ、そして坂本真綾をゲスト・ヴォーカルに迎えたデュエットナンバー「Lazy Line Painter Jane」(ベル・アンド・セバスチャンのカヴァー)が収録されていたりと、全体的な色彩としては色鮮やか。「Butterfly」は原曲の木村カエラの歌詞をそのまま末光が歌っているのですが、男が歌っても大丈夫な歌詞なので(笑)この曲だけ浮いているということもなく、自然とアルバムの中にすんなりと溶け込んでいました。

 アカデミックな部分が後退した分、ポピュラリティーが少し前に出てきた感じの作品なので、SUEMITSU〜時代の難解さがちょっと…というリスナーにとってはとっつきやすいかも。ただ、彼自身のヴォーカルに関しては好みが分かれるところでしょう^^;。
 さて、通常盤には最後に「From Your Pianist」というタイトル曲が収録。彼にしては珍しいピアノ一本の弾き語りで、シンプルにピアノへの想いを綴ったラブソング。前作の一曲目のインスト「Dear Grand Piano」と対になるような曲です。心に染み入るバラードなのですが、二作のミニアルバムを総括するようなテーマ曲が、なぜか通常盤のみ収録というところに違和感を感じてしまいました(苦笑)。
 …色々と小うるさいことを書いていますが(笑)、今後はゲストを迎えてのフィーチャリング的な活動も多く行っていきたいとのことで、彼の次なる活動にも期待です。