hatadvd 2011年11月23日発売、デビュー5周年の節目で発売された秦基博のDVD集。内容はデビュー以来のPV集(DISC1)、バンドと共に全国を回ったツアーの最終日公演(DISC2)、そして一日限りのアコースティックライブ(DISC3)の3枚組がジュエルケース仕様にて三方背ボックスに収納。なお、本作は初回生産限定盤。DISC1のみが「best music clips 2006-2011」として単品販売されています。

 DISC1はデビューシングル「シンクロ」から、発売当時の最新シングル「水無月」までの全シングル(バージョン違い有り)に、ミニアルバム「僕らをつなぐもの」の表題曲、デビューアルバム「コントラスト」から「風景」、そして冨田ラボのプロジェクトに参加した「パラレル feat.秦基博」のPVを収録した全18曲。
 既作品のシングル、アルバムの初回盤DVDなどで商品化されているクリップが大半で、初商品化となるのは「風景」「朝が来る前に」「Halation」「メトロ・フィルム」「水無月」の5曲のみ。その辺りのフォローも考えたのか(?)各作品にそれぞれメイキング映像や未公開シーンが5分程度収録。なので全収録時間は160分とかなり長めで、見応えのある収録内容になっています。PVに関しては基本的に本人の演奏シーンをメインにイメージ映像が出てくる…というのが大半でまあ予想通り、といった感じ。ストーリー性のある「キミ、メグル、ボク」や「朝が来る前に」、レコーディング風景が出てくる「水無月」などが良かったです。余談ですが結構彼のPVは電車が出てくる確率が高いような気がしますね(笑)。ちなみに、DISC1には歌詞ブックレットも付属しているのですが、各楽曲とも歌詞だけではなく当時の写真、レコーディングメンバーまで詳細に記載されており、DVDをCDに変更してそのままベストアルバムとして発売しても通用しそうな充実の情報量でした(笑)。

 DISC2は最新アルバム「Documentary」を引っ提げて2010〜2011年にまたがった全国ツアーのファイナル公演・2011年2月23日の神奈川県民ホールでのライブを全23曲収録。CSでオンエアされたライブの完全版のようです。
 前作DVD「LIVE AT BUDOKAN」とはバンドメンバーが一新。近年コンビを組む久保田光太郎をはじめ、「Documentary」のレコーディングにも参加したメンバー(「透明だった世界」のPVで演奏している人達)での編成で、勢いのあるバンドサウンドを聴かせてくれます。「Documentary」自体がバンド色の濃いアルバムだったのでこの人選はある意味納得。秦自身は基本的にギターを弾いて歌っている他は特に目立つパフォーマンスはしないのですが、その代わりにバンドメンバーがかなりパフォーマンス的に目立つのが特徴でしょうか^^;(特にベースとキーボード)。秦基博のバックバンドというよりも、彼自身を含めて「秦バンド」という印象のステージでした。セットリストは最新アルバムから全曲、近年のカップリング曲に過去の代表曲を散りばめており、「Documentary」が好きなら文句なしの内容。

 DISC3は2011年5月4日に宮崎フェニックス・シーガイヤ・リゾートにて行われた野外アコースティックライブ「GREEN MIND 2011」の模様を全22曲収録。こちらも既にCSでオンエア済のプログラムの完全版ですが、CSで放映されたドキュメントやインタビューなどはカットされ、ライブ本編のみを収録。
 恒例のアコースティックライブの特別編ということで、アコギ弾き語りのみならず、中盤で島田昌典(グランドピアノ)、正木健一(パーカッション)、久保田光太郎(アコギ、ベース他)をリレー形式で迎えて7曲、アンコールを含めれば8曲をコラボレーションするという豪華なゲストコーナーがあり、それが最大の見どころ。少人数編成ということもあり、CDやバンドライブとはアレンジが異なる楽曲が青空の下で次々と披露されるのは、野外の爽快感もあって格別。セットリストはこの時点までのベスト選曲に新曲「水無月」を加えた「ベスト・オブ・アコースティック」とでも呼びたい内容で、この公演の、特にゲストの部分は限定生産のDVDに収めるだけでは勿体ないような気がしました(笑)。

 全3枚、トータル時間は446分。というわけで筆者も3ヶ月ぐらいかけてようやく観終わった本作(笑)。内容充実、ボリュームたっぷりのお薦めDVD-BOXなのですが、もう既に生産は終わっているらしく、このレビューをきっかけに「観たい!」と思われる方がもしいましても現時点では入手が難しい、というのが残念。中古で定価以下で売っていたら狙い目です。