p2 去る3月20日、幕張メッセにて開催されたチャリティーライブ「All That Love -give&give-」にて、実に16年ぶりのライブステージを敢行したPRINCESS PRINCESS。11月には仙台、そして日本武道館での公演が控えている彼女達。今回のCD Reviewは期間限定ながら再結成を果たしたプリプリの活動を後押しすべく(?)、TM NETWORKに続き全ベストアルバムレビューを行わさせていただきます。彼女達もTM同様、解散後にかなりベストを濫発していて(されていて)、その数は実に11作品。収録曲も相当被りまくりなのですが(汗)、1作品ずつレビューしていきたいと思います。ご興味のある方は「続きを読む」からご閲覧ください。
PRINCESS PRINCESS 全ベストアルバムレビュー


SINGLES 1987-1992
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 1992年7月5日発売、デビューシングル「恋はバランス」から最新シングル「パイロットになりたくて」までの全シングルA面タイトル13曲に、「Diamonds」のカップリング「M」、オーケストラインスト「THE PRIVATE FANFARE」、新曲「晴れた日に」を加えた全16曲。
 プリプリがオリジナルアルバムを出す時は、先行シングルしかアルバムに入れないという傾向が強く、「Diamonds」「世界でいちばん熱い夏」「OH YEAH!」「KISS」といったヒットシングルが本作でようやくアルバム初収録。この時点で既にセールス的には全盛期を過ぎたあたりだったが、本作は5週連続1位を獲得するほどの大ヒットでミリオンセラーを獲得。初回限定盤は立体ロゴが押された特殊CDケース仕様。
 2バージョンが存在する「世界でいちばん熱い夏」は昭和バージョンでの収録だが「恋はバランス」「MY WILL」と共に新たにリミックス('92 mix)されており、オリジナルとは若干音の立ち加減が異なる。このアルバム以降に大ヒット曲は残念ながら生まれなかったので、結果的に彼女達の代表シングル曲をほぼ網羅している1枚。


PRESENTS
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 1994年8月25日発売、ファン投票によって選出された15曲に、新曲「悲しみのある風景」をプラスした全16曲。初回盤は航空便風のケース+ピクチャーレーベル仕様で3,200円、通常盤は約1週間後の9月1日に3,000円で発売されている。
 「SINGLES 1987-1992」以降のアルバム未収録シングル「だからハニー」「THE SUMMER VACATION」以外は全てオリジナルアルバムからの収録。バランス良く各アルバムから良曲が選ばれており、シングルヒット集に終始している他のベストを聴き、もっと聴きたくなったリスナー向けか。初期の曲はここでも新たにリミックスがされている('94 mix)。「HIGHWAY STAR」「パパ」「One」などの人気曲がひしめき合う好盤。個人的には「MELODY MELODY」(7thアルバム「BEE-BEEP」収録)がイチ押し。


The Greatest Princess
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 1996年2月1日発売、前年秋に解散を発表したのを受けて発売された、オールタイム・ベストアルバム。全17曲収録。
 最後のベストということで、ヒット曲に加え「友達のまま」や「GUITAR MAN」といったアルバムの人気曲も時系列順に収録。「世界でいちばん熱い夏」は初めて平成レコーディングバージョンがプリプリ名義のアルバムに収録された。「SINGLES〜」以降の曲はわずか2曲のみとあまりにも少なく、収録時期にかなり偏りが見えるのが欠点か。せっかくのオールタイムベストなんだから2枚組にすればいいのに…と当時不満だったことを思い出す(笑)。


STAR BOX
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 1999年1月30日発売、SONY系列レーベルに在籍していたミュージシャンの企画シリーズの一作品としてリリースされたベストアルバム。全15曲収録。
 収録されたのはすべてシングル曲&カップリング曲で、アルバムからの選曲はなし。プリプリのテーマソング的な「19 GROWING UP -ode to my buddy-」が収録されていないのが意外ではある。「SINGLES〜」後のシングルで、一切ベストに収録されなかった「POWER」「REGRET」「Birthday Song」(特にこの曲はオリジナルアルバムに未収録)が収録された辺りはポイント高め。


STAR BOX EXTRA
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 2001年12月5日発売、「STAR BOX」が世紀を跨いで復活。THE BOOMやBAKUFU-SLAMP、小比類巻かほる等と同発でリリースされた。全15曲収録。
 今回は「恋はバランス」をはじめ最初期のシングルも選ばれていることもあり、「STAR BOX」よりはやや選曲時期に幅はある。ベスト初収録のシングル曲「ふたりが終わる時」や、ラストシングル「Fly Baby Fly」のカップリング曲「純愛」が選ばれるなど選曲は若干渋め(?)。「M」が収録されていない珍しいベストアルバムでもある。


プリ2 -PRINCESS PRINCESS BEST OF BEST-
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 2006年3月8日発売、解散10周年を記念して発売されたプロダクトのひとつで、「着うた」ダウンロード上位14曲を収録。同発のトリビュートアルバム「14プリンセス -PRINCESS PRINCESS CHILDREN-」とは曲目・曲順とも同じの、一種の企画盤。
 過去のベストに収録されなかった曲は一曲も入っていないのが特徴。まあ解散から10年経ってからの縛りなしの人気投票のようなものだから順当なところか。個人的には「ジャングルプリンセス」がこんなに人気があったとは意外な感じ。余談だがこの年は全オリジナルアルバムBOX、全シングルBOX、DVD-BOXが次々と発売されて、ファンの財布泣かせの一年だった…と思われる。


プリプリ・サマソン!
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 2007年7月18日発売、タイトル通り「夏」をテーマにした曲を中心にセレクトされた「サマーベスト」。全17曲収録。
 歌詞に「海」「風」「砂浜」「太陽」といった、夏を連想させるフレーズの入った曲を選んだ印象。「パイロットになりたくて」などは一応歌詞に「夏の日」と出てくるものの、歌詞ではなく雰囲気で何となく選ばれたような気もするが、全曲すべてがギラギラした夏!といった感じの曲調ではない。「世界でいちばん熱い夏」はオリジナルバージョンと平成バージョンの両方が収録された。解散発表後のアンコールシングル「夏の終わり」が初めて全曲集以外のアルバムに収録されていたり、過去のベストに収録されなかったアルバム曲もそれなりにあったりするので、それを目当てに聴いてみるのが良いかも。


プリプリ・フユソン!
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 2007年11月21日発売、「サマソン!」に続き今回は「冬」をテーマにした曲のウィンターソングコンピレーション。全16曲収録。初回限定盤には収録曲「M」「パパ」「ジュリアン」「KISS」のカラオケディスクが付属。
 明確に舞台の時期が冬だと分かるのは「DING DONG」や「SWEET VALENTINE」ぐらいで、正直「サマソン!」よりも選曲が苦しいと思う。個人的に「だからハニー」や「KISS」はリリース時期の関係もあり春のイメージなので冬にカテゴリーされることには違和感が。テーマに沿った選曲という意味では疑問の残る内容だが、こちらも「サマソン!」同様ベストに初収録されたアルバム曲も数曲あるので、それなりに聴きどころはあり。アルバムジャケットのアートワークに関してはセンスが感じられて好きである。


THE PREMIUM BEST
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 2008年7月2日発売、初のリミックスアルバム。全15曲収録。翌年9月2日に完全限定生産でBlu-spec CD盤がリリースされた。
 お馴染みのベスト定番曲を新たにリミックスして収録。ただし、原曲の演奏自体はいじらずに、音の定位や音量を現代風にバランス調整したという意味でのリミックス。ドラムとギター、そしてコーラスがオリジナルよりも前面に押し出され、全体的な音のレンジも広がったように聴こえる。
 2000年代的な音質、音圧でやや垢抜けた、という印象を持ったが、80年代後半〜90年代前半独特の原曲ミックスに慣れた耳にはやや刺激が強すぎるような気がしないでもない。これが思い出補正というやつなのかもしれないが(苦笑)。むしろ、リアルタイムでプリプリを知らなかったリスナー層に聴いてもらいたいアルバム。


BEST OF BEST
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 2009年11月20日発売、SONY ONLINE SHOPの通販限定(多分)の流通ルートで売り出される、SONY所属アーティストが一度は通る道(?)の廉価版ベストシリーズ。1,680円で全12曲収録。
 1991年までの作品しか収録されていない。本作未聴なのでどの音源を使っているのかは不明だが、収録曲は過去のベストアルバムにすべて収録されており、目新しさはまったくなし。珍しい点といえば、メンバー全員の集合写真が使われていることぐらいか。「プリ2」のサブタイトルと同じタイトルなので紛らわしい(苦笑)。


SUPER BEST
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 2009年11月20日発売、上記「BEST OF BEST」収録曲に4曲を追加した2,000円全16曲。こちらもSONY ONLINE SHOPで購入可能。
 追加された4曲も既存のベストに収録された曲ばかり。どちらかを選べと言われれば曲数の多いこちらを取るが…。強いて他のベストとの違いを挙げるとすれば、シングル曲以外の4曲はすべて4thアルバム「LOVERS」からの選曲という点だろうか。ちなみに本作は1993年までの曲を収録。


 …以上、全11作品のベストアルバムレビューでした。
 読んでいてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、あまりにも同じような内容のベストが多く、最後のほうはほとんど書くことがなくなってしまったのも事実(苦笑)。しかしこれだけベストを出していながら、全シングルを網羅したコンプリートベストのようなものがリリースされていないのが意外といえば意外。まあベストアルバムに未収録のシングル曲は一曲もないわけですが…。
 さて、そんな数あるベストの中でお薦めなのは…強いて挙げるなら音質の面で「プリ2」、または「THE PREMIUM BEST」でしょうか。続いて「PRESENTS」、または多少楽曲は被るものの「サマソン!」「フユソン!」辺りも代表曲以外のマイナーな曲を聴きたいのならいいかも、といったところです。
 ちなみに筆者は解散直後に発売された全曲集BOX「プリンセス・プリンセス大全集」を持っているので、今回のレビューの中で所持している作品は「SINGLES〜」だけで、他はほぼレンタルで済ませたクチですが、最新リマスターで2枚組ぐらいの決定盤ベストが出たら、ひょっとしたら買ってしまうかもしれません^^;。
 さて、この全ベストアルバムレビュー、やってみると結構面白いことに気づきましたので(笑)、今後も「CD Review Extra」扱いで続けて行こうと思っています。不定期なので突発的な更新になると思いますが、その時はまたどうぞひとつ宜しくお願いいたします。