larcbest 2011年2月16日発売、L'Arc〜en〜Cielのバンド結成20周年を記念したベストアルバム三作同時発売のうちの1枚。他の2枚は「1991-1996」(活動前期)「1997-1999」(活動中期)となっており、本作は活動後期の10年間(と呼ぶには語弊があるのは後述…)にあたるリリース作品の中からのベストセレクション。なお、約一ヶ月後の3月9日に、全三作のCDにDVD他特典を付属したBOX仕様でセット販売もされています。

 タイトルでは「2000-2010」と銘打たれていますが、実際に収録された年代は「NEO UNIVERSE」から「get out from the shell」までが2000年、活動休止を挟んで「READY STEADY GO」以降の2004年から2007年までの発売音源からのセレクト、そしてラストに収録されているカヴァーの配信シングル「I Love Rock'n Roll」が2010年と、時期的にはかなり飛んでいるので要注意。

 さて、筆者はラルクに関してはアルバム「True」や「HEART」の頃はそこそこ聴いてはいたのですが、最も彼らがセールス的に全盛だった頃にリリースされたアルバム「ark」「ray」が今いちピンと来ず、気が付くといつの間にかラルクから遠ざかっていた身、というライトリスナーになってしまっていたわけですが、オールタイムベスト的な作品が出たことだし、とりあえず聴いてみるか…ということで久々にラルクのアルバムに手を出したのですが、本作、5曲目以降、つまり活動再開後の2004年以降の彼らの作品に触れて、「あれ?ラルクってこんなに開放的だったっけ?」と驚いた次第。確かに4曲目まで(2000年作品)はマニアックで閉塞感が漂うのですが、「READY STEADY GO」以降は活動を休止したことで心機一転ということなのか、「New World」や「Link」などのかなり開放的で耳当たりが良く、ギターロックバンド!というアレンジの上に親しみやすいメロディーラインが乗った曲が連発され、「瞳の住人」や「叙情詩」といったミディアム調のナンバーに関しても爽快な印象を受けました。シングル曲が中心のセレクトということもあり、意図的にこういった作風の楽曲を集めたベストなのかもしれませんが、最近のラルクはこういった音楽性がメインということなら、是非オリジナルアルバムを聴いてみたいな、と感じました。

 ベスト3作同時発売、しかも前期と中期は既発のベストと曲が被りまくりということもあって、コアなファンの方々からはあまり芳しくない評判の今回のシリーズのようですが、「昔聴いてたけど…」という私のようなリスナーにとっては、少なくともこの「2000-2010」に関しては気軽に最近の彼らの活動を知ることができる、この時期の彼らの入門書的な作品だと思いました。
 なお、2008年以降に発売されたシングル曲はすべて未収録。これは恐らく次のアルバムに収録されるのでしょうかね?今年になってライブ活動を再開したようですし、今後の活動も意識してチェックしておきたいところです。