watarydiary 2011年6月8日発売。風味堂ヴォーカリスト・渡和久のセカンドソロアルバム。全10曲収録。初回限定盤はライブ映像やPVを収録したDVDが付属の2枚組。

 前作「東京ブルー」から約1年。前作のレビューでも書きましたが、歌詞が風味堂の時よりも内省的になっていると感じる彼のソロ作品なのですが、今作も聴いた感想はだいたい同じ。そこが最大の風味堂との違いでもあるわけですが、前作と比較すると、「ゴロゴロモンスター」という異色な曲が中盤で出てきたりもするのですが(笑)、全体的に絶望を歌い切るような曲は減って、むしろそこから光を見出そう、という「街角の音」や、「自転車に乗って」などに代表されるような、少しだけ前向きなテーマの曲が多くなったような気がします。

 一方、サウンド面では、参加しているバンドメンバーを統一したことで、全体的なカラーに統一感が見受けられました。一言で表現するならば「アコースティックで温かみのあるサウンド」。渡氏のピアノを中心としつつも、ピアノが突出して目立ちすぎている感はなく、歌を引き立てるバンドサウンドになっている印象です。生バンドならではの「シンガーソングライター」のようなシンガロングタイプの曲もあり、ガンガン突き進むぜ!的な(風味堂的な?)曲は見当たらないのですが、一聴して穏やかな気持ちになる作品だと思いました。

 この秋から、ついに風味堂も再始動。ソロ活動はしばしお休みでしょうか。今回のソロで学んだものを今後の風味堂の作品に活かしてくるのかどうか、それが楽しみです。