41eVBT9cYrL__SL500_AA300_ 連日続く猛暑の中、甲子園球場にて高校球児達が勝利を目指して熱い試合を繰り広げる夏の高校野球選手権大会。いよいよ大会も今週末クライマックス、ということで、今回ご紹介する「今週の1枚」は、2002年7月24日にリリースされたコンピレーションアルバムをピックアップ。その名も「一番熱かった夏〜熱闘甲子園の歌〜」。全10曲収録。

 夏の高校野球大会開催中の夜に毎年オンエアされる、テレ朝(ABC)系の高校野球ダイジェスト番組「熱闘甲子園」。レギュラー番組の初オンエアから今年で31年目を迎えるというこの長寿番組(データの詳細が載っている私設サイトはコチラ)、汗にまみれて白球を追う高校球児達のバックに流れていたテーマソングの数は数えきれないほど。実際、J-POPアーティスト達の曲をテーマソングとしてオンエアするようになったのは1990年大会の「金網ごしのBlue Sky」(大塚純子)からということで、残念ながらこの曲は収録されていないのですが、翌年1991年から2001年までの主題歌をセレクションしたのが本作品です。ちょうど1990年辺りからJ-POP、そして野球(プロ・アマ問わず)に興味を持ち始めた筆者にとっては、まさに本作は青春ど真ん中(笑)のコンピレーション作品となっています。

 約11年間の間にテーマソングに起用されたアーティストはベテランから若手までと実に様々。既にキャリアを築いていた浜田麻里渡辺美里TUBEから、当時人気急上昇中だった石川よしひろ、当時マイナーだった(残念ながら今も…)TSUNAMI安藤秀樹、そしてベテランの西浦達雄までと、結果的に幅広い世代のアーティスト達が集ったアルバムとなりました。

 こうして集められたテーマソングの数々も、各アーティストの個性を反映してバラエティ豊か。「熱闘甲子園」だから真夏の太陽のように熱く!という超王道の直球ソング「傷だらけのhero」(TUBE)、爽やかに熱い「Precious Summer」(浜田麻里)、球児達を見守る側の立場で描かれた「Dear…」(TSUNAMI)、燃えた季節を回想するノスタルジックな「手の中の青春」(西浦達雄)など、色々な角度から心の琴線に触れる曲が多数。直接的に「野球」をテーマにしていない曲もチラホラありますが、それでも当時「熱闘〜」で毎日のようにオンエアされていたということもあり、これらの曲を聴くとその年の試合ハイライトが目に浮かんでくるような、そんな気持ちになれる曲が満載です。

 一方、サウンド面に関しては2011年という年から振り返ってみると、良くも悪くも、90年代に主流だったサウンドアプローチの曲が多いかな、という印象。基本的に曲順は1991年から1年ずつ年を追って収録されている(飛ばされている年もありますが)ということもあり、1994年のTUBEはビーイング全盛的なサウンドだったり、1997年のTSUNAMIは「あ、このシンセの入れ方がなんかSIAM SHADEっぽい」と思ったら、編曲を明石昌夫氏が手掛けていたり、皆谷尚美の「セピアの日」は1999年の流行らしいR&Bテイストを含んだアレンジになっていたりと、音楽的世相がそのまま反映されているのが面白いです。そんな中で真心ブラザーズの「FLY」(2001年)は普遍的な輝きを放っていて、この曲は例えば今年あたりにリリースされていても違和感はないかな、と思ったりしました。

 また、ブックレットに収録年代の決勝試合の解説や、永きにわたって「熱闘〜」のキャスターを務める長島三奈のテキストが掲載されていて、それも読みどころ。今や福岡ソフトバンクホークスの不動のエース・杉内俊哉投手や、メジャーに進出した松坂大輔投手の高校時代のエピソードがわずかですが書いてあったりするのは「わぁ、懐かしいなぁ」と思いましたし、同じく甲子園で活躍してプロ入りしたものの、現在では現役引退している選手の名前を目にした時はちょっと切なくなったりと、音楽以外でも懐かしい気分に浸らせてくれる、付加価値のある作品でした。

 なお、2001年以降のテーマソング集として「熱闘甲子園のうた〜夏の高校野球応援ソング〜」が2010年にリリースされています。実質上の続編ですので、併せて聴いてみると約20年分の「熱闘甲子園」の主題歌が楽しめます。甲子園もいよいよ大詰め、熱いコンピレーションアルバムを聴きながら、折り返し地点を迎えた夏を過ごしてみるのはいかがでしょうか。