deengraduation 2011年6月15日発売、オリジナルアルバムとしては通算11作目となる(去年のサマーアルバム「クロール」を除く)DEENのニューアルバム。シングル「Brand New Wing」を含む全11曲収録。初回限定盤には特典CDとしてバラードベストアルバム「Ballads in Blue II」と、最新ツアー「LIVE JOY-Break15〜History〜」の中野サンプラザでの公演の模様をピックアップして収録した特典DVDが同梱された3枚組。

 今作は、今までリリースされてきた彼らのオリジナルアルバムのタイトルを収録曲に冠し、リリース順に並べたという、ある種のコンセプトアルバムのこと。とは言っても、「全曲ラブソング」というコンセプトだった前作「LOVERS CONCERTO」や、「サマーアルバム」という明確なコンセプトを打ち出していた「クロール」と比較すると、今作の楽曲は良い意味で統一感がなく、王道ギターロックからラテン、ラップ系、インスト曲や上海ロックスター(笑)までと多彩なジャンルが収録されている点では、「DEEN NEXT STAGE」の雰囲気に近いような気がします。
 また、リードトラック「卒業」をはじめとして、DEEN18年=18歳ということで(?)近年の作品ではやけに歌詞が若々しいというか、初々しいというか、そういった印象を受ける歌詞が多かったのが特徴的。筆者はデビュー当時から彼らの音楽をリアルタイムで聴いているわけですが、今作は歌詞もサウンドもかつてのAOR期から考えられないほどの青春回帰っぷりで、新鮮な気持ちで楽しむことができました。
 お勧めは「'need love」、「ROAD CRUISIN'」、「Diamonds」。上海ロックスター Episode2の「LOVERS CONCERTO」も武道館で披露された時は例の振付けのおかげで「?!」と思いましたが(笑)、改めて聴いてみると結構好きです。

 特典CDについては先週いち早く全曲レビューを行いましたので、特典DVDのほうを最後にご紹介。今年の1月22日の中野サンプラザでのライブが収録されているわけですが、超マニアックな曲を連発していたコアなファン垂涎の(笑)ライブツアーからの抜粋とだけあって、「DREAMIN'」「恋人よ、夢も嘘もすべて」「FOREVER」「Dancin' alone」「すてちまえ!」など、もう二度と披露されない可能性が高い曲達が次々と登場する辺りは非常にたまらない1枚です。池森氏の喉も、近年のライブDVDの中では絶好調の部類に入るでしょうし、本編CD+2,000円の価値は確実にあると思います。できれば同じくなかなか披露されない「手ごたえのない愛」や、バンドバージョンの「いつか僕の腕の中で」を収録して欲しかったところですが…というわけで、何らかの形でそれらの作品が映像化されることを切に望んでしまいます。