goinginagawa 2011年4月27日発売、GOING UNDER GROUND通算8作目となるオリジナルアルバム。シングル「LISTEN TO THE STEREO!!」「LONG WAY TO GO」を含む全10曲収録。

 前作「LUCKY STAR」から実に2年ぶりとなる本作。キーボードの伊藤洋一の脱退、松本素生、河野丈洋のソロ活動、そしてポニーキャニオンへのレコード会社移籍など、この2年の間に色々な出来事があった彼らですが、だからなのか、今作は従来の「ゴーイングらしさ」から大きく変化した内容となっています。
 去年リリースされたシングル2枚でも既にその兆候は表れていたと思うのですが、まず耳を引くのはサウンド。「h.o.p.s.」あたりからバンド+プログラミングを重視した音楽性を志向していた路線から一転、今作はインディーズ時代やメジャーデビュー直後辺りの、ドラムや粗削りなギターを中心に据えた作品が揃っています。
 また、歌詞の面では今までのどこか映画的なセンチメンタルかつ絵空事的な作品世界から抜け出し、割と現実世界で生きる主人公達を描いた作品が多いような。「所帯持ちのロードムービー」なんてタイトルからまさにそんな感じですし(笑)。個人的にはゴーイングは永遠の青春センチメンタルバンド(何だそりゃ)という認識を持って聴いていたので、この変わりようには正直驚きました。少し大人になった歌詞世界と、青臭さが抜けない粗削りなバンドサウンド、という、相反する要素が混在する今作は、ある意味再出発という意味での彼らのデビューアルバムと呼んでもいいのかもしれません。

 ちなみに筆者のハイライトは8曲目から10曲目まで。代表曲「トワイライト」の展開を意識して作られたと思われる、脱退した伊藤洋一への思いを込めた「さよなら僕のハックルベリー」、続いて(ミュージシャンとしての?)栄枯盛衰を描いた「詩人にラブソングを」、最後に原点回帰的に音楽への初期衝動を熱く描いた「LONG WAY TO GO」。この3曲の流れは胸が熱くなりましたね。
 シングル2作のようなシンガロングソングばかりだったらどうしようかと内心思っていたのですが(苦笑)、全体を聴いてみるとそんなことはなく、新しい彼らの音楽の世界がそこにありました。従来のリスナーには賛否両論あるアルバムとは思いますが、むしろ今作は今まで全くゴーイングを聴いていなかったリスナーに試しに聴いてみてもらいたい作品ですね。