レコード会社各社による合同企画ベストシリーズ「ゴールデン☆ベスト」。2011年2月23日、つまり来週発売されるシリーズの一作として、Something ELseの全シングルのA面を網羅したシングルコレクションがラインナップに挙がっています。2006年10月の解散からもう4年半。このタイミングでベストが出るとは思っていなかったのでファンとしては喜んでいいのか驚いていいのか…という気持ちですが(苦笑)、発売を記念しまして、今回のCD Review Extraでは、本作に収録されるシングルタイトル曲16曲を1曲ずつレビューしていこうと思います。サムエルファンの方、ご興味をお持ちの方は「続きを読む」からどうぞ。Something ELse「ゴールデン☆ベスト」発売直前全曲レビュー
※基本的に作詞・作曲は今井千尋。作者が異なる場合のみ表記しています。
1.悲しきノンフィクション
1996年10月23日発売。
記念すべきデビューシングルは、別れを告げられ、今までの幸せな日々がフィクションに、そしてさよならの事実がノンフィクションになってしまった嘆きを描いた失恋ソング。
いきなり内容の暗い曲でデビューとなった彼らだが、この時点で既にアコギをメインにしたポップな中に切なさを感じさせる曲調、三人のコーラスワーク等の「サムエルらしさ」が確立されていると思う。
「ラストチャンス」でブレイク後に発売されたヒストリーアルバム『502』では「502MIX」として、キーが変更になったバージョンが収録されている。
2.days go by
1997年2月12日発売。
これまたサムエルらしいミディアムポップス。歌詞は旅立ちと別れを描いたモラトリアム的なものがテーマだろうか。かなり歌詞は練られている印象を受ける。ヴォーカル大久保伸隆の声の出し方が、他の曲と比べて、より感情を込めて歌っているような気がする。
初期のシングル群の中ではベストアルバム『TICKET』に収録されなかった唯一の曲ということで印象は地味めだろうか。テーマがテーマなだけに、「これがラストシングルだよ」と言われても納得してしまいそうな、解散当時の彼らの決意を先取りしたかのような歌詞だったと、今になって思う。
3.風と行きたかった
1997年10月8日発売。
青春回想系のアコースティックバラード。叶わなかった恋を追想し、今でも思い続けている歌詞がなんとも悲しい。季節を特定する決定的な描写はないが、個人的なイメージとしては桜の季節が思い浮かぶ。でも発売は秋(笑)。
この曲は当時JRのCMで聴いたことがあり、そのこともあって初期の彼らのシングルで一番好きなのはこの曲である。サビのメロディーも覚えやすく、きっかけさえあればヒットしそうな曲であるが、1990年代後半、個性的な面子がヒットチャートを賑わせていた音楽シーンの中では残念ながら目立たなかった感がある。
なお、2005年発売のミニアルバム『バンドワゴン』では、続編として「続・風と行きたかった」が収録された。
4.反省のうた
1998年2月6日発売。
NHKの「みんなのうた」で放送されていたそうだが未見。PV集「TICKET THE MOVIE」に収録されていた映像がオンエアバージョンのようである。
「みんなのうた」タイアップということもあり、タイトル通りの内容の歌詞はシンプルで分かりやすく、それでいて真理を突いているところがなかなかに心憎い。以上の4曲がデビューアルバム『Triple Play』に収録。それにしてもデビューしてから1年半もアルバムが出ない状況、というのもアーティスト側としてはなかなかに辛いものがあったのではないだろうか。
5.レコード
1998年6月17日発売。
前作までのアコースティック路線から一転、エレキがリフを奏でるアップテンポのマイナーチューン。今作の作詞は大久保伸隆と今井千尋の共作。失恋がテーマだが、全編に渡って彼女の思い出を「回り続ける」レコードに喩える描写が光っている。サビで手拍子ポイント(?)もあるし、ライブで盛り上がりそうな曲である。
余談だがPVはメンバーがアニメのキャラクターで登場する異色作(特に今井はなぜかロボット・笑)。シングルのジャケットもこのPVのひとコマである。
6.ラストチャンス
1998年12月23日発売。
サムエルを語るに避けては通れない、日テレ「雷波少年」の1コーナーの企画で「オリコンで20位以内にランクインしなければ解散」という命題のもと、数ヶ月の合宿を経て作り上げられたこの曲は初登場2位、最高位1位でミリオンセラー直前までセールスを伸ばした。作詞・作曲は初めてのSomething ELse名義。
歌詞の内容は上記に沿っており、「このままじゃ終われないんだ」「最後に賭けてみたいんだ」等々ダイレクトに彼らの叫びが伝わってくるメッセージソングではあるが、聴き手も自分自身の出来事に重ね合わせることのできる等身大の歌詞だと思う。
ちなみに筆者は「雷波少年」は飛び飛びに観ていた程度であり、この曲が大ヒットした時点では特にファンというわけではなかったので「まあ良い曲だね」程度の認識であった。本格的に彼らの曲にハマるようになったきっかけについては後述。
7.さよならじゃない
1999年4月9日発売。
「ラストチャンス」企画での候補曲の1曲だったらしい。だからなのか作詞・作曲はSomething ELse名義。テーマも「ラストチャンス」に通じるものがあるがこちらのほうが前向きだろうか。久々のメジャー調のアップテンポなシングルで、爽快感のあるアレンジである。
タイアップは日テレの「劇空間プロ野球」イメージソング。巨人戦の中継の最後で流れていた。東京ドームでのホームゲーム中継で巨人にとってはサヨナラ勝ちもあり得るのに、イメージソングは「さよならじゃない」とはこれ如何に、とテレビに突っ込んでいたことを思い出す。屈折していたんだなぁ(苦笑)。
8.あいのうた
1999年7月28日発売。
タイトル通りのズバリ直球のラブバラード。
思えばここまで幸せを描いたテーマのシングルはこの後も出てこない。一方的な想いだけではなく、相手側からの想いも描写しているところがポイント。個人的には「長い階段の途中で〜」から始まるCメロのメロディーが好きである。
PVは学校の校舎やその周辺を舞台に、1台のハンディーカメラを長回しして最初から最後まで一気に撮影されたものを使用。このPVもお勧め。
9.ウソツキ
2000年2月16日発売。
アルバム『ギターマン』の先行シングル。去年の前向きポップスな路線からうって変わって、湿り気を含んだマイナー調のナンバー。歌詞もヘビーである。有線放送でロングランしたらしい。作詞はSomething ELse名義、作曲は初のシングル担当となった伊藤大介。なお、今作よりマキシシングルでの発売となる。
このシングルをレンタルした時に、マイナーなメロディー+コーラスワーク+歌詞が個人的にツボにはまり、アルバムも聴いてみようかな、ということで『ギターマン』に手を出し、サムエルそのものにハマった経緯を持つ筆者としては、この曲はそのきっかけとしてとても思い出深い1曲である。
10.磁石
2000年11月8日発売。
前作に引き続き伊藤大介が作曲を担当(作詞は今井千尋)。曲調も引き続きマイナー。更にホーンを加えたりして、アレンジの面でも「爽やかポップスだけではないサムエル」をアピールしようと試行錯誤していた頃なのかもしれない。この曲も好きだったが、この時期にこの哀愁路線を強調しすぎて地味なイメージが付いてしまい、新たなファンの獲得のチャンスを逃したことも事実だと思う。
歌詞の「二人を壊す出来事はたった一つで十分だと知った」というフレーズはリアリティがあり過ぎていつ聴いてもドキドキする(苦笑)。
11.びいだま
2001年2月9日発売。
アルバム『光の糸』先行シングル。今回はレトロな作風で、三人のコーラスワークを全面に押し出した作品。珍しく補作詞としてメンバー以外の名前(福本ゆみ)がクレジットされた。前作同様テレ東の「美・少女日記」の主題歌だったらしいが未見。
なお、今作のPVは何故か鍛冶職人風のメンバーが登場し、丸太を斧で叩き割ったり、鍬を地面に振り下ろしたりという、サムエル一シュールな映像作品だと思う。特に歯をムキムキにして斧を振り下ろす大久保伸隆の表情が怖すぎてあまり繰り返して観たくないPVである(笑)。
12.夏のラジオ
2002年2月6日発売。
アルバム『Y』の先行シングル。このアルバムは外部に作詞を発注した作品が並んでおり、この曲もベテラン作詞家の売野雅勇の手によるもの。さすがにベテランらしくしっかりと纏められた歌詞が秀逸である。「二十歳のようには愛せない」のフレーズが特に心に残る。
失くした恋を振り返りつつも前向きに進もうとする歌詞のテーマに沿って、切ないだけではなく力強さを感じさせるアレンジが良い。なお、『Y』のアルバムバージョンではギターソロなどが異なる。シングルバージョンの初収録は一年後のベストアルバム『TICKET』。
13.国道16
2002年9月26日発売。
新たなテーマ「サブ・アーバンミュージック」を提唱した第1弾シングル。その幕開けに相応しく、疾走感あふれる曲調、シンプルながら力強いメロディー、抜群のコーラスワークなど、壁をひとつ乗り越えたような完成度の高い楽曲。ひたすらメンバーが走り続けるPVも最高である。
個人的にサムエルのシングルの中で1番好きなのはこの曲であり、携帯のメールアドレスにこの曲のタイトルをこっそり入れているのもそのためである(笑)。
そんな中、今作の唯一の欠点はコピーコントロールCDとして発売された、ということ。後のアルバム『風見鶏』もCCCDであり、今作「ゴールデン☆ベスト」でようやく正規格のCDに収録された。嬉しい限りである。
14.少年
2003年2月5日発売。
爽やかなアップテンポナンバー。何とコードが全編に渡って3つしか出てこない(しかもそのスリーコードを延々と繰り返す)という実験的な曲だが、キャッチーなメロディーと掛け声のコーラスでその実験的な要素をほとんど感じさせない作りが面白い。
このシングルのカップリングでは前年の秋に楽屋にて録音されたこの曲のデモ音源が収録されているが、完成版と比べて歌詞が一部異なる。ちなみに今作もCCCD。「ゴールデン☆ベスト」で正規格盤に初収録。
15.1M
2003年10月16日発売。
シングルでは初の大久保伸隆による単独作詞作品(作曲は今井千尋)。物理的、心理的な距離を測りつつ、届かない想いのもどかしさを綴った歌詞は女性の視点から描いたといわれる作品。
アルバム『風見鶏』の開放的な路線からやや翳りを感じさせる作風になった。間奏のアコギの印象的なリフが「国道16」を彷彿とさせる。サブ・アーバン路線になってからのシングルとしては実質的に最後のオリジナルになってしまったが、これら3曲はどれも完成度が高いと思う。
なお、「ゴールデン☆ベスト」でアルバム収録自体初となる。ついでに正規格のCDに収録されるのも初。
16.あの頃のまま
2004年7月28日発売。
初のカヴァーシングル。原曲はブレッド&バター。作詞・作曲は呉田軽穂(松任谷由実の変名)。シングルはCCCDであったが、このシングルが収録されたカヴァーアルバム『夏唄』はCD-EXTRAの正規格CDでリリースされた。
サムエルがカヴァーしたらこうなるよね、といったアレンジであり、良くも悪くも王道といった印象。この年は年始に大久保伸隆がソロ活動を始めたりと、前年までのセールス不振を受けて何か起こりそうな予感はしていたが、アルバム『夏唄』、そして非公認DVD『夏華』のリリースをもって東芝EMIとの契約を終了。その後、解散までシングルの発売はなかったので、この作品が結果的に最後のシングルとなった。
…以上、全16曲のシングルをご紹介しました。
この後のサムエルの活動についても少し。東芝EMIとの契約を終えた後はインディーズレーベルに移行。ライブ会場と通販のみの販売となるミニアルバム『バンドワゴン』、そして全国発売されたアルバム『COLOR』を2005年にリリース。そして2006年の10月22日、デビュー10周年を一日前にして、東京国際フォーラムにて行われた「FINAL LIVE」ツアー最終日をもって解散。その後、大久保伸隆はソロとして活動、今井千尋と伊藤大介はプロデュースユニット「ranai」を結成して現在に至っております。
かつての人気バンドが再結成というケースが多いここ数年ですが、解散宣言の後の三人の雰囲気や、その後の活動の様子を見るに、サムエルが再結成する確率は残念ながら低いと思われます。またこの三人のハーモニーが聴きたい、という気持ちもありますが…。
解散から約4年半を過ぎて、レコード会社主導とはいえ、彼らのEMI時代の活動をまとめたベストのリリース。そうなると次は映像作品が欲しくなってしまうのがファンの性(苦笑)。解散後に一時期ファンクラブ会員にネット配信されていた「FINAL LIVE」のDVDは出してはもらえないものでしょうかねぇ…。当時はEMIとの契約で音源が使用できなかったという話も聞きますが、その話は今はクリアになっているのかどうか。あまり期待しないで待ちたいと思います^^;。
そんなわけでお送りしましたSomething ELseシングルレビュー。この「ゴールデン☆ベスト」、価格も2,000円と安いし、アルバム初収録の曲もあるし、サムエルの歴史を辿る1枚としては最適なベストアルバム。来週発売ですが、今から楽しみです。
※基本的に作詞・作曲は今井千尋。作者が異なる場合のみ表記しています。
1.悲しきノンフィクション
1996年10月23日発売。
記念すべきデビューシングルは、別れを告げられ、今までの幸せな日々がフィクションに、そしてさよならの事実がノンフィクションになってしまった嘆きを描いた失恋ソング。
いきなり内容の暗い曲でデビューとなった彼らだが、この時点で既にアコギをメインにしたポップな中に切なさを感じさせる曲調、三人のコーラスワーク等の「サムエルらしさ」が確立されていると思う。
「ラストチャンス」でブレイク後に発売されたヒストリーアルバム『502』では「502MIX」として、キーが変更になったバージョンが収録されている。
2.days go by
1997年2月12日発売。
これまたサムエルらしいミディアムポップス。歌詞は旅立ちと別れを描いたモラトリアム的なものがテーマだろうか。かなり歌詞は練られている印象を受ける。ヴォーカル大久保伸隆の声の出し方が、他の曲と比べて、より感情を込めて歌っているような気がする。
初期のシングル群の中ではベストアルバム『TICKET』に収録されなかった唯一の曲ということで印象は地味めだろうか。テーマがテーマなだけに、「これがラストシングルだよ」と言われても納得してしまいそうな、解散当時の彼らの決意を先取りしたかのような歌詞だったと、今になって思う。
3.風と行きたかった
1997年10月8日発売。
青春回想系のアコースティックバラード。叶わなかった恋を追想し、今でも思い続けている歌詞がなんとも悲しい。季節を特定する決定的な描写はないが、個人的なイメージとしては桜の季節が思い浮かぶ。でも発売は秋(笑)。
この曲は当時JRのCMで聴いたことがあり、そのこともあって初期の彼らのシングルで一番好きなのはこの曲である。サビのメロディーも覚えやすく、きっかけさえあればヒットしそうな曲であるが、1990年代後半、個性的な面子がヒットチャートを賑わせていた音楽シーンの中では残念ながら目立たなかった感がある。
なお、2005年発売のミニアルバム『バンドワゴン』では、続編として「続・風と行きたかった」が収録された。
4.反省のうた
1998年2月6日発売。
NHKの「みんなのうた」で放送されていたそうだが未見。PV集「TICKET THE MOVIE」に収録されていた映像がオンエアバージョンのようである。
「みんなのうた」タイアップということもあり、タイトル通りの内容の歌詞はシンプルで分かりやすく、それでいて真理を突いているところがなかなかに心憎い。以上の4曲がデビューアルバム『Triple Play』に収録。それにしてもデビューしてから1年半もアルバムが出ない状況、というのもアーティスト側としてはなかなかに辛いものがあったのではないだろうか。
5.レコード
1998年6月17日発売。
前作までのアコースティック路線から一転、エレキがリフを奏でるアップテンポのマイナーチューン。今作の作詞は大久保伸隆と今井千尋の共作。失恋がテーマだが、全編に渡って彼女の思い出を「回り続ける」レコードに喩える描写が光っている。サビで手拍子ポイント(?)もあるし、ライブで盛り上がりそうな曲である。
余談だがPVはメンバーがアニメのキャラクターで登場する異色作(特に今井はなぜかロボット・笑)。シングルのジャケットもこのPVのひとコマである。
6.ラストチャンス
1998年12月23日発売。
サムエルを語るに避けては通れない、日テレ「雷波少年」の1コーナーの企画で「オリコンで20位以内にランクインしなければ解散」という命題のもと、数ヶ月の合宿を経て作り上げられたこの曲は初登場2位、最高位1位でミリオンセラー直前までセールスを伸ばした。作詞・作曲は初めてのSomething ELse名義。
歌詞の内容は上記に沿っており、「このままじゃ終われないんだ」「最後に賭けてみたいんだ」等々ダイレクトに彼らの叫びが伝わってくるメッセージソングではあるが、聴き手も自分自身の出来事に重ね合わせることのできる等身大の歌詞だと思う。
ちなみに筆者は「雷波少年」は飛び飛びに観ていた程度であり、この曲が大ヒットした時点では特にファンというわけではなかったので「まあ良い曲だね」程度の認識であった。本格的に彼らの曲にハマるようになったきっかけについては後述。
7.さよならじゃない
1999年4月9日発売。
「ラストチャンス」企画での候補曲の1曲だったらしい。だからなのか作詞・作曲はSomething ELse名義。テーマも「ラストチャンス」に通じるものがあるがこちらのほうが前向きだろうか。久々のメジャー調のアップテンポなシングルで、爽快感のあるアレンジである。
タイアップは日テレの「劇空間プロ野球」イメージソング。巨人戦の中継の最後で流れていた。東京ドームでのホームゲーム中継で巨人にとってはサヨナラ勝ちもあり得るのに、イメージソングは「さよならじゃない」とはこれ如何に、とテレビに突っ込んでいたことを思い出す。屈折していたんだなぁ(苦笑)。
8.あいのうた
1999年7月28日発売。
タイトル通りのズバリ直球のラブバラード。
思えばここまで幸せを描いたテーマのシングルはこの後も出てこない。一方的な想いだけではなく、相手側からの想いも描写しているところがポイント。個人的には「長い階段の途中で〜」から始まるCメロのメロディーが好きである。
PVは学校の校舎やその周辺を舞台に、1台のハンディーカメラを長回しして最初から最後まで一気に撮影されたものを使用。このPVもお勧め。
9.ウソツキ
2000年2月16日発売。
アルバム『ギターマン』の先行シングル。去年の前向きポップスな路線からうって変わって、湿り気を含んだマイナー調のナンバー。歌詞もヘビーである。有線放送でロングランしたらしい。作詞はSomething ELse名義、作曲は初のシングル担当となった伊藤大介。なお、今作よりマキシシングルでの発売となる。
このシングルをレンタルした時に、マイナーなメロディー+コーラスワーク+歌詞が個人的にツボにはまり、アルバムも聴いてみようかな、ということで『ギターマン』に手を出し、サムエルそのものにハマった経緯を持つ筆者としては、この曲はそのきっかけとしてとても思い出深い1曲である。
10.磁石
2000年11月8日発売。
前作に引き続き伊藤大介が作曲を担当(作詞は今井千尋)。曲調も引き続きマイナー。更にホーンを加えたりして、アレンジの面でも「爽やかポップスだけではないサムエル」をアピールしようと試行錯誤していた頃なのかもしれない。この曲も好きだったが、この時期にこの哀愁路線を強調しすぎて地味なイメージが付いてしまい、新たなファンの獲得のチャンスを逃したことも事実だと思う。
歌詞の「二人を壊す出来事はたった一つで十分だと知った」というフレーズはリアリティがあり過ぎていつ聴いてもドキドキする(苦笑)。
11.びいだま
2001年2月9日発売。
アルバム『光の糸』先行シングル。今回はレトロな作風で、三人のコーラスワークを全面に押し出した作品。珍しく補作詞としてメンバー以外の名前(福本ゆみ)がクレジットされた。前作同様テレ東の「美・少女日記」の主題歌だったらしいが未見。
なお、今作のPVは何故か鍛冶職人風のメンバーが登場し、丸太を斧で叩き割ったり、鍬を地面に振り下ろしたりという、サムエル一シュールな映像作品だと思う。特に歯をムキムキにして斧を振り下ろす大久保伸隆の表情が怖すぎてあまり繰り返して観たくないPVである(笑)。
12.夏のラジオ
2002年2月6日発売。
アルバム『Y』の先行シングル。このアルバムは外部に作詞を発注した作品が並んでおり、この曲もベテラン作詞家の売野雅勇の手によるもの。さすがにベテランらしくしっかりと纏められた歌詞が秀逸である。「二十歳のようには愛せない」のフレーズが特に心に残る。
失くした恋を振り返りつつも前向きに進もうとする歌詞のテーマに沿って、切ないだけではなく力強さを感じさせるアレンジが良い。なお、『Y』のアルバムバージョンではギターソロなどが異なる。シングルバージョンの初収録は一年後のベストアルバム『TICKET』。
13.国道16
2002年9月26日発売。
新たなテーマ「サブ・アーバンミュージック」を提唱した第1弾シングル。その幕開けに相応しく、疾走感あふれる曲調、シンプルながら力強いメロディー、抜群のコーラスワークなど、壁をひとつ乗り越えたような完成度の高い楽曲。ひたすらメンバーが走り続けるPVも最高である。
個人的にサムエルのシングルの中で1番好きなのはこの曲であり、携帯のメールアドレスにこの曲のタイトルをこっそり入れているのもそのためである(笑)。
そんな中、今作の唯一の欠点はコピーコントロールCDとして発売された、ということ。後のアルバム『風見鶏』もCCCDであり、今作「ゴールデン☆ベスト」でようやく正規格のCDに収録された。嬉しい限りである。
14.少年
2003年2月5日発売。
爽やかなアップテンポナンバー。何とコードが全編に渡って3つしか出てこない(しかもそのスリーコードを延々と繰り返す)という実験的な曲だが、キャッチーなメロディーと掛け声のコーラスでその実験的な要素をほとんど感じさせない作りが面白い。
このシングルのカップリングでは前年の秋に楽屋にて録音されたこの曲のデモ音源が収録されているが、完成版と比べて歌詞が一部異なる。ちなみに今作もCCCD。「ゴールデン☆ベスト」で正規格盤に初収録。
15.1M
2003年10月16日発売。
シングルでは初の大久保伸隆による単独作詞作品(作曲は今井千尋)。物理的、心理的な距離を測りつつ、届かない想いのもどかしさを綴った歌詞は女性の視点から描いたといわれる作品。
アルバム『風見鶏』の開放的な路線からやや翳りを感じさせる作風になった。間奏のアコギの印象的なリフが「国道16」を彷彿とさせる。サブ・アーバン路線になってからのシングルとしては実質的に最後のオリジナルになってしまったが、これら3曲はどれも完成度が高いと思う。
なお、「ゴールデン☆ベスト」でアルバム収録自体初となる。ついでに正規格のCDに収録されるのも初。
16.あの頃のまま
2004年7月28日発売。
初のカヴァーシングル。原曲はブレッド&バター。作詞・作曲は呉田軽穂(松任谷由実の変名)。シングルはCCCDであったが、このシングルが収録されたカヴァーアルバム『夏唄』はCD-EXTRAの正規格CDでリリースされた。
サムエルがカヴァーしたらこうなるよね、といったアレンジであり、良くも悪くも王道といった印象。この年は年始に大久保伸隆がソロ活動を始めたりと、前年までのセールス不振を受けて何か起こりそうな予感はしていたが、アルバム『夏唄』、そして非公認DVD『夏華』のリリースをもって東芝EMIとの契約を終了。その後、解散までシングルの発売はなかったので、この作品が結果的に最後のシングルとなった。
…以上、全16曲のシングルをご紹介しました。
この後のサムエルの活動についても少し。東芝EMIとの契約を終えた後はインディーズレーベルに移行。ライブ会場と通販のみの販売となるミニアルバム『バンドワゴン』、そして全国発売されたアルバム『COLOR』を2005年にリリース。そして2006年の10月22日、デビュー10周年を一日前にして、東京国際フォーラムにて行われた「FINAL LIVE」ツアー最終日をもって解散。その後、大久保伸隆はソロとして活動、今井千尋と伊藤大介はプロデュースユニット「ranai」を結成して現在に至っております。
かつての人気バンドが再結成というケースが多いここ数年ですが、解散宣言の後の三人の雰囲気や、その後の活動の様子を見るに、サムエルが再結成する確率は残念ながら低いと思われます。またこの三人のハーモニーが聴きたい、という気持ちもありますが…。
解散から約4年半を過ぎて、レコード会社主導とはいえ、彼らのEMI時代の活動をまとめたベストのリリース。そうなると次は映像作品が欲しくなってしまうのがファンの性(苦笑)。解散後に一時期ファンクラブ会員にネット配信されていた「FINAL LIVE」のDVDは出してはもらえないものでしょうかねぇ…。当時はEMIとの契約で音源が使用できなかったという話も聞きますが、その話は今はクリアになっているのかどうか。あまり期待しないで待ちたいと思います^^;。
そんなわけでお送りしましたSomething ELseシングルレビュー。この「ゴールデン☆ベスト」、価格も2,000円と安いし、アルバム初収録の曲もあるし、サムエルの歴史を辿る1枚としては最適なベストアルバム。来週発売ですが、今から楽しみです。
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