urautabaka 2010年11月10日発売。デビューから15年にわたる間のカップリング曲33曲をCD2枚組に収めた、平井堅のカップリングベストアルバム。初回生産限定盤はリミックスベストアルバム「Kh re-mixed up2」を同梱したCD3枚組。

 2005年にリリースしたシングルコレクション「歌バカ」の兄弟編、まさに「裏ベストアルバム」といった趣の今作。時系列順に楽曲が並んでいるわけですが、初期の作品は良質なポップスではあるのですが、それ以上のものがないというか、耳あたりが良すぎてその枠を抜け切れていない、という印象を受けるのは「歌バカ」に収録された初期のA面シングルと同様。「強くなりたい」(「Love Love Love」c/w)あたりから、平井堅独自の味というものが徐々に出てきて、ブレイクしたシングル「楽園」のカップリング「affair」「What's Goin' On?」以降は自作曲、提供曲に関わらず、R&B、ポップス、バラードなど、どんなサウンドプロデュースやジャンルでも彼の持ち味がしっかりと出ている曲が揃っていると感じました。

 また、カップリングということで、ブレイク以降のシングルA面曲に見られた「タイアップ関連」という縛りが完全にないこれらの楽曲はかなり自由。実験的な曲もカップリングだから試せるというか、その辺の作風のバラエティ感は「歌バカ」以上。カップリングベストという性質上、ライトなファンからは敬遠されそうなアルバムではありますが、むしろ「平井堅のシングルってバラード多いよね」といった先入観を持ったライトなファン(それは筆者か?^^;)にこそ手に取ってもらいたいアルバムかもしれません。
 個人的に良かったのは「CAT」「PAUL」「まばたき」「ため息キップ」「Cry&Smile!!」「HOTEL VAMPIRE」などなど。そして、廃盤となったコンピレーションアルバムにのみ収録されていた「君が笑ったら」が遂に平井堅名義のアルバムに初収録、というのは嬉しい限り。そして余談ですが、楽曲製作当時の状況を赤裸々に綴った(笑)平井堅の各楽曲ごとのセルフライナーノーツも読みごたえがあります。

 なお、初回生産限定盤のリミックスアルバムは、これもシングルのカップリングとして収録されていた既存曲のリミックス曲のコンピレーション。初音源化の作品もありますが、楽曲を大胆に変更したものから、メロディーラインを重視したものまでリミックスの手法は様々。こちらはコアなファン向けですかね。