REQUEST 2010年9月29日発売。JUJUのカヴァーアルバム。先行リリースの「Hello,Again〜昔からある場所〜」を含む全12曲収録。

 1990年代中盤から2000年代前半あたりまでの日本の女性ヴォーカルによるナンバーをカヴァーしている本作。管理人は彼女の音楽を手に取って聴く、という機会は今まで持っていませんでしたが、今回のカヴァー選曲は個人的に一番音楽を聴きまくっていた時期の作品で、そのほとんどのオリジナル作品を知っているということもあり、レンタルして聴いてみました。

 上記のように、原曲を知っている、という前提で聴いてみたのですが、亀田誠治や松浦晃久、武部聡志などのJ-POP界を代表する大御所達のアレンジに関しては、総じてオリジナルを尊重したトラックが多く(「LOVER SOUL」はちょっと変化球気味ですが)、となると、原曲の女性ヴォーカルとJUJUとのヴォーカルの比較に耳が向くわけですが、柔らかい声質に安定した表現力を持った彼女の歌唱力の高さもあり、終始心地よく聴こえました。ファン層に90年代の名曲達をJUJUを通じて知ってもらう、という企画意図だとしたらこれは成功だと思います。

 ですが、私見として例えば「Hello,Again」はakkoの崩れそうに危ういヴォーカルが曲の良さを最大限に引き出しているように感じたり、「ギプス」は、あの狂気スレスレ(?)の椎名林檎のヴォーカルだからこそあの歌詞が映えるんだな、という印象をこれらの曲のカヴァーを聴いて思ってしまった次第でもありまして。
 歌唱力が高ければ高いほど楽曲の個性が最大限に引き出せるというわけではなく、声と曲(+アレンジ)の相性は大事なんでしょうね。しかもオリジナルのアーティスト用に作られた曲を新たにカヴァーするわけですから、カヴァーするほうも自分の色に染め直さなければならない。その大変さを痛感したアルバムでもありました。
 タイトル通りリクエストを募った結果の選曲で、本人の要望によるカヴァーではないということも、より一層それを難しくしているというのもあるのかも。

 ところでこのアルバム、帯に「1st Cover Album」と記載されていたのですが、となると次回作もいずれは企画されるんでしょうか。その時はJUJU自身がカヴァーしたい曲を選んだアルバムを作ったほうが、彼女の個性というものが強く出て面白い作品集になるんじゃないかと思っています。