sense 2010年12月1日発売。通算14作目となるMr.Childrenのオリジナルアルバム。全12曲収録。

 前作より約2年ぶりのリリース作品。その間、配信限定シングルはあったものの、CDという媒体では一切リリースがなかった彼らですが、さらにアルバム発売直前までタイトルはおろか曲目まで発表せずという、徹底した情報統制をして発売されるという異例の経緯を経てリスナーの耳に届けられた本作。収録曲すべてが初CD化の楽曲で、配信DLもしなかった筆者にとってはすべてが新曲ということで、聴く前の先入観もなくまっさらな状態でアルバムを聴くこととなりました。

 すでにCMソングとしてテレビで流れている王道バラード「365日」、そしてロックバンドとしてのミスチルの美味しいところを詰め込んだかのような「fanfare」。この2曲を核に、収録された各曲は、今までミスチルが辿ってきた音楽性を2010年という現代にもう一度再現したかのようなバラエティ豊かな曲が並んでいます。
 初期の匂いの漂う「I'm talking about Lovin'」、ブレイク期を彷彿とさせる「擬態」、サウンドが90年代末っぽい雰囲気の「ロックンロールは生きている」、そして音楽的にも精神的にも(?)安定してきたここ数年の彼らならではのポップで前向きなアプローチを見せる「Prelude」などなど。どこからどこを切ってもミスチル節と言いますか、今作はメロディーラインの面も含めて、今までのキャリアを総括したようなナンバーが勢揃い。
 歌詞のほうも最近の彼らの定番であるやや観念的なメッセージ性のある曲が多いものの、大上段なテーマを掲げているわけでもなく、あくまで日常をテーマにした曲がほとんどで、生活に密着した感のある内容で大歓迎でした。

 そして今作も小林武史プロデュースとしてキーボード、ストリングスが導入された曲が多数。これは賛否両論あるとは思いますが、個人的には前作のレビューの時も同じようなことを書きましたが、Mr.Children=メンバー+小林武史の音という感覚をブレイク以前から持っていたので、その点では違和感は感じません(むしろ「DISCOVERY」の頃にこのサウンドってミスチル?と思ったぐらいなので)。

 そんなわけで、2年ぶりの新作ということもあり待たされた感が強かったものの、「IT'S A WONDERFUL WORLD」以降のオリジナルでは一番好きなアルバムかも。もう既にベテランの領域に達したと思われる彼ら、アルバムのリリースも今後どれぐらい時間がかかるか分からないですが、これだけ力の入ったアルバムを作ってくれるなら、次作は2年以上待ってもいいです(笑)。