sou 2010年3月17日発売。GOING UNDER GROUNDのヴォーカル・松本素生のソロアルバム。全6曲+ボーナストラック1曲収録。

 全英語詞のバンド「S×O×U」や単発でのコラボ活動を除くと彼にとってゴーイング以外の初のソロ活動となる今作。収録曲中2曲はスキマスイッチの常田真太郎プロデュースによる、流麗なストリングスを取り入れた生バンドサウンドでの楽曲。3曲はゴーイングのメンバーである河野丈洋を含むプロデュースチームによる、打ち込みを使用しつつもどこか体温を感じさせる楽曲といった感じにはっきりと分かれていて、さらにアコギ弾き語りのライブ音源、ボーナストラックでは桑田佳祐のカヴァーと、アルバムとしてのトータル的な体裁としては良くも悪くもバラバラで、サウンド面に関しては、掴みどころのない1枚となっています。

 音楽性としては「スキマっぽい」「ゴーイングのアルバムに入ってる打ち込み曲っぽい」といった側面は否めないのですが、むしろこのアルバムでは歌詞の面で「ゴーイングのヴォーカルとはちょっと違う松本素生」という印象を受けました。
 いきなりアルバムジャケットでの「ある朝の妻との会話」から始まる手書きの書き殴り文字(笑)が示しているのか、ゴーイングでのどこか抽象的で匿名性のある歌詞から、今作では松本素生自身に二、三歩近づいて、彼から発せられる等身大のメッセージが前面に出ているような気がします。「バトってハニー」も長く付き合っているカップルなら頷ける話だろうし、「my friend,my love」に共感する層もいるはず。個人的には地に足を付けた父親目線(彼自身が子持ちということもあるのでしょうが)から子供へのメッセージソング「2030」が壮大なバンドサウンドと相俟ってなかなか感動的でした。

 このアルバム発売後、GOING UNDER GROUNDとしてのリリース活動も再開したわけで、しばらくソロ活動はないとは思いますが、今後のゴーイングがこういった路線に進むのか、それとも「LISTEN TO THE STEREO!!」のようなハードなギターロック路線を突き進むのか、ソロ活動を経たゴーイングの次の一手が不安でもあり楽しみでもあります。