legends 2010年3月24日発売。T-BOLANの歴史を総括したCD2枚+DVDの3枚組ベストアルバム。

 1999年末に解散した後にいわゆる「ビースタ」等のレコード会社主導のベストアルバムがリリースされたT-BOLANですが、今回はヴォーカル・森友嵐士の活動再開シングル(レコード会社は別)との同時発売、さらに連動特典もありと、久々のオフィシャルな匂いのするリリース作品にして、ベストアルバムとしてもようやく決定盤がリリースされたといった感じの内容となっています。

 CD2枚組のうちDisc1はシングルコレクション。大ヒットした「離したくはない」「Bye For Now」のような心に沁みるバラードから、「刹那さを消せやしない」「マリア」といった、切ないアップテンポナンバーまで、シングルタイトルとしての魅力に溢れた15曲を収録。なぜかオリジナルシングルでは唯一「JUST ILLUSION」が相変わらず外されているのが不憫ではありますが…(汗)この曲、そしてリミックスシングル以外の全シングル曲がこの1枚で聴けるというのは非常に美味しいです。

 Disc2はアルバム曲やシングルのカップリングから選ばれた「隠れた名曲集」。いわゆる裏ベスト的な内容で、ライトリスナーがより深くT-BOLANに触れてもらうにはうってつけの選曲だと思います。コアなファンには未発表曲「満月の夜」が一番の聴きどころでしょう。森友嵐士のヴォーカルが他の曲よりも妙に甘いので、どの時期に録音された曲かはちょっと分かりかねるのですが、メロウな佳曲だと思いました。

 そして、DVDはT-BOLANの結成秘話から解散に至るまでのタイムラインを当時のPVやライブ映像を織り交ぜつつ辿っていく「T-BOLAN History of 1991-1999」。当時のビーイングの方針だったのか、映像作品というものがほとんど存在しない彼らですが、「ライブだけのDVDも出して欲しかったなぁ…」と本作品のライブシーンを見る度に感じてしまうのが正直なところ。今回のベストの中ではこのDVDが一番存在価値が高いような気がします。

 非公認アルバムと比べると値段的にはやや高いですが、リマスタリングもされているし、これからT-BOLANを聴いてみたいという方には間違いなくこのベストがお奨めですね。