refire 2009年10月14日発売。アニメ「マクロス7」に登場した架空のロックバンド「FIRE BOMBER」の結成15周年アルバムと銘打たれた(?)オリジナルニューアルバム。

 ベストアルバムでも「ULTRA FIRE!!」(1999年)以来10年振り、オリジナルという形態でいえば「DYNAMITE FIRE!!」(1998年)以来実に12年振りという、ファンにとってはまさかの復活を果たしたFIRE BOMBER。四人組ロックバンドという「設定」の彼らの中でメインヴォーカルは男女一人ずつ。それぞれにソロを取り合ったり、デュエットしたりと、それぞれの声質を活かした曲を歌っていたバンドでした。ちなみにこのヴォーカルの二人は本業のミュージシャンの福山芳樹、チエ・カジウラの両名が担当しています。

 そんな彼らから久々に届いたニューアルバム。彼らが活発に活動していた頃の曲は1990年代中盤〜後半のJ-POPの主流である「打ち込みロック」の体を成していたと思うのですが、今作では、ブラス・サックスといった楽器群を積極的にロックナンバーに取り入れたり、より生音(ドラムなど)のグルーヴを強調した演奏になっていたりと、2000年代の音楽シーンを反映したようなサウンドになっているのが特徴でしょうか。作家陣の顔ぶれも今回初参加の方々が多く、熱いノリの曲でもどこか「あの頃と違うな?」という印象を受けました。

 全12曲の収録曲中、「突撃ラブハート」「LOVE IT」の2曲はセルフカヴァーで収録されており、それらとオリジナルを聴き比べるとよく分かるのですが、透明感のあるシンセ音といった「当時を感じさせる音」はほとんど入っておらず、さらに福山氏の声質がハスキーに変化したり、カジウラ嬢がより妖艶さを増したヴォーカルで歌い上げていたりと、前作から12年という時の経過を感じさせる作風でまとめられています。まあバンドを結成してから15年も活動していれば、現実のバンドでもこれぐらい音楽性の変化はある(復活するまでは活動休止状態だったらしいですが…^^;)と思うので、当時を懐古するというよりも「今のFIRE BOMBERはこうだ!」という現在進行形の彼らの元気な姿を見せてもらえたのは嬉しかったです。
 お勧めは「Burning Fire」「Ready GO.」「Song Of Eternity」などなど。現実世界とフィクション設定それぞれの視点からの裏話的なライナーノーツもファン必見ですね。