DEENKUROUL 2010年7月28日発売。「サマースペシャルアルバム」と銘打たれたDEENのニューアルバム。シングル「coconuts feat.kokomo」を含む全12曲収録。初回生産限定盤には、DEENの過去の楽曲の中からサマーソングだけを11曲セレクトして収録したCD「ナツベスト」が同梱の2枚組。

 「クロール」の収録内容は、オリジナルの新曲あり、セルフカヴァーあり、インストあり、さらに「夏の終りのハーモニー」のカヴァーがありと、まさに「夏の企画盤」といった趣向。
 夏をテーマにしていますが、サウンド的には季節特有のギラギラした暑さ、という要素は皆無。アコギを全面に押し出したサーフロック(っていうのかな?)な曲調で、今年の猛暑をクールダウンしてくれるかのような、聴いているだけで避暑できてしまいそうな(笑)コンセプトで全編が統一されています。2007年のコンセプトマキシシングル「Classics Four BLUE」をアルバムとしてバージョンアップさせてみた、という印象でしょうか。
 新曲に関しては「coconuts」を超えるインパクトの曲はありませんでしたが、爽やかなサウンドを軸に、心地良さを加えた「ハピネス」や、切なさを感じさせる「夏の雨」など、なかなか聴き応えのある曲が揃っていると思います。
 セルフカヴァー3曲の中でのお勧めは「Blue eyes〜Strings Style〜」。原曲はR&B風のアレンジでしたが、今回はライブバージョンを意識したような生演奏に、ストリングスがプラスされたバージョン。このストリングスにかなり「気品」のようなものを感じて、個人的には今回のバージョンのほうが好きかもしれません。

 初回生産限定盤の「ナツベスト」にも触れておくと、「DEEN17年分の楽曲の中から〜」みたいなことが銘打たれていますが、「翼を広げて」「瞳そらさないで」「SUNSHINE ON SUMMER TIME」「君がいない夏」はリメイクバージョンで収録。一番古い曲でも2003年の作品なので、実質的には7年間の楽曲からのセレクトなのでご注意(苦笑)。
 ただ曲を並べるだけではなく、各曲のイントロでDJによる楽曲紹介(英語)で繋いでいくので、ちょっとしたFMの番組を聴いているような気分になれて、これは結構面白い企画かも。
 また、今作に収録されるにあたって音質が再調整されたのかは分かりませんが、AOR期の楽曲とそれ以降の楽曲が一緒になっているにも関わらず、演奏の雰囲気に違和感(特にドラムの音)はほとんど感じられず、1枚通してスムーズに聴けるベストだな、と感じました。
 個人的には「クロール」含め予想以上に好感触の作品でした。ライトなファンがこのベストを聴いてどう思うかはまた別の話だと思うのですが…マニアックな曲が結構ありますからねぇ(笑)。