soranosirusi 2009年11月18日発売。通算8作目のMy Little Loverのオリジナルアルバム。シングル「音のない世界」「blue sky」他収録の全11曲。初回盤はPVやライブ映像が収録されたDVDが付属。

 akkoのソロプロジェクトになってから3作目のオリジナルとなる今作。個人的にマイラバに関してはレコード会社を移籍して以降(つまりソロになってから)のアルバムは未聴だったのですが、スマッシュヒットになった「音のない世界」で久々に作品に触れ、最近のマイラバはどんな感じなのかな、といった興味で今作を手にして聴いてみました。

 オリジナルメンバー・藤井謙二の脱退以降、akkoと小林武史の夫婦ユニットとなっていた頃のマイラバは、アルバム「FANTASY」のように、ポップセンスは残しつつもどこか無機質な響きの作品が多かったと思うのですが、今作「そらのしるし」では、デビュー当時、特に「evergreen」や「ALICE」あたりまでの時期を彷彿とさせる、キュートでキャッチーなガールポップ(死語か?)が満載で、大変聴きやすい作品。

 元メンバーであり今作ではエグゼクティブ・プロデューサーという肩書きの小林武史の手による楽曲はありませんが、tetsuhikoこと鈴木哲彦(「時のベル」他)、レミオロメンの前田啓介(「月の船」他)といった豪華な作家陣による楽曲提供はどれも90年代J-POP愛好家である私の耳のツボを見事に突いてくる美しく耳に残るメロディーの作品が多数。また、akko自身もすべての楽曲の作詞の他にも数曲作曲を手がけており、「ほしつきよる」あたりはアルバムのリード曲にしてもいいのでは?と思えるほどの出来だと思いました。そしてakkoの「少女性」を感じさせるヴォーカルは依然健在。もう30代後半のはずなのにむしろ歌声は若返っているような気がするのは何故なのでしょうか。大変好みです(笑)。

 「初期のマイラバをコンセプトに」というテーマでも掲げたのか、とでも思いたいくらいの原点回帰となっていた今作。まあ、あくまでも「初期風」であって、藤井謙二のアバンギャルドなギターは当然入っていないし、小林武史独特の実験性あふれる挑戦的なアレンジも存在しないわけで、過去の作品と比較してしまうとどうしても小さくまとまっている感は否めないと思いますが、ソロになってもマイラバは健在、ということを再確認させてもらった一枚でした。