
ベストアルバムやライブアルバムを挟んで、実に3年半ぶりとなるオリジナル作品で、ここ10年ほど(苦笑)寡作になってしまった彼だけに、いちファンとしてはオリジナルが出ただけで嬉しいというのが正直な感想なのですが、本作はベテランらしい安定感と、ベテランらしからぬ野心的な試みがバランス良く成り立っている作品に仕上がっていると思います。
先に野心的な試みから紹介しますと、オープニングナンバーの「REGIKOSTAR〜レジ子スターの刺激〜」からいきなり某女性三人組を彷彿されるデジタルボイス&テクノポップサウンドが炸裂、続く「小学3年生」ではビックバンドジャズに挑戦、そしてパリ在住経験を活かして書かれた(?)シャンソン風「オー・ルヴォワール・パリ」などなど、今までの彼の作品ではなかったようなジャンルの曲が多数。もう20年ほど(自称)ファンを名乗っている私でさえ度肝を抜かせられてしまいました。
一方、従来のイメージに相応した楽曲も粒ぞろい。恋の終わりを描いた「ピーナッツ」「バイバイバイ」には胸が締め付けられてしまいますし、「ordinary days」はこれは彼自身の実体験?と邪推してしまいそうなハッピーな楽曲。西海岸風のギターサウンドが心地良い「青春の風」など、安心して聴ける曲も充実しています。
そして極めつけは、ASKAと共作した「予定どおりに偶然に」。ASKAとKANの一大コラボレート作品…というか、かなりASKA寄りの作品になっているのですが(笑)、これがなかなか聴き応えのある大作。両方のファンである私にとってはまさしく夢の組み合わせで、このアルバムを締めくくるのに相応しい内容でしょう。
…これだけの作品をこれからも作ってくれるのならば、次回作は3年半以上待ってもいいです(笑)。ファンなら必聴の作品、そして「愛は勝つ」のイメージを強く持っている方にも是非聴いていただいて、「KANってこういうことする人なの?!」と驚いていただきたい作品です(笑)。
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