katyouhugetsu 2010年3月3日発売。1年4ヶ月ぶりとなるレミオロメン通算5枚目のメジャーオリジナルアルバム。シングル「Starting Over」「恋の予感から」他全12曲収録。初回盤は収録曲全曲のライブ映像を収録したDVDが付属。さらに1万枚限定で結成10周年仕様のパッケージ(CD+DVD+GOODS)が生産されたそうです。

 インディーズ盤「フェスタ」以来のレミオロメン単独名義でのプロデュース作品(一部トーレ・ヨハンソンとの共同プロデュース)。前作までの共同プロデューサー+全曲のアレンジを担当していた小林武史氏は今回エグゼクティブ・プロデューサーとしての肩書きでクレジットされているものの、直接彼らと楽曲を製作したのは先述のトーレ・ヨハンソンと、皆川真人氏の両者のようです。
 …だからなのか、近年の彼らの作品で顕著だった「ストリングスを壮大に使って盛り上げるアレンジ」が極端に減り、メンバーの演奏を核にしつつ、各楽曲のカラーに応じたキーボードやストリングス、曲によっては打ち込みを使ったバンドサウンドでのアレンジが増えていると思います。

 「大晦日の歌」のような、かつての彼らの作風を彷彿とさせるような曲もある一方で、四つ打ちビートが印象的な「東京」のような新しい試みもあり、その他メジャースケールなのにどこか翳りを感じる「ロックンロール」、バイオリンをフィーチャーしたほのぼのとした「花鳥風月」、大団円的な「小さな幸せ」等、楽曲の幅もほどよく広く、耳を楽しませてくれるアルバムになっています。
 また、些細な日常の風景を朗々と歌い上げる藤巻亮太の歌声も、ここ最近の作品で感じた「詞曲とヴォーカルの体温の違い」みたいなものを感じさせず、ぴったりとマッチしていると感じました。

 去年の彼らのシングル曲は個人的には「う〜ん…」と思っていて、正直今回のアルバムもあまり期待していなかったのですが(おい)、想像以上の作品が出てきたのは嬉しかったです。これからもこの調子で活動を続けていってほしいものです。