2020年08月09日 11:35

artblakeyjustcoolin 2020年7月17日発売、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの世界初登場となる発掘音源アルバム。未発表楽曲2曲を含む全6曲収録。

 2019年はアート・ブレイキー生誕100周年、そして今年2020年は同氏の没後30年。このタイミングで本作のリリースがアナウンスされたのは今年の3月。本来は4月24日に全世界での同時発売を予定していましたが、新型コロナウイルスによる影響と国際状況を鑑みてリリースを8月7日に延期。その後発売が前倒しになり、通常盤SHM-CD、LP盤は7月17日に、SA-CD盤は8月7日にそれぞれリリースという経緯を辿りました。本作のレビューはSHM-CD。なお印刷差し替えが間に合わなかったのか、ジャケットの発売表記が8月7日のままなのはご愛嬌。

 録音年月日は1958年3月8日。ブレイキーの録音史としては代表作「MOANIN'」の約半年後の録音で、演奏パーソネルはブレイキー(Ds)、リー・モーガン(Tp)、ボビー・ティモンズ(P)、ジミー・メリット(B)に、「MOANIN'」でのベニー・ゴルソンに代わってハンク・モブレー(Ts)が加わった五人編成。発売レーベルはかつてブレイキーが所属していた老舗のジャズ・レーベル、ブルーノート・レコーズ名義からで、全曲スタジオ録音、ブルーノートの公式レコーディング記録にも残っていた「未発表公式スタジオ録音盤」となっています。

 収録楽曲はバラードは1曲もなく、ミディアムテンポとアップテンポが半々ぐらい。ステレオ録音になっており二管はモーガンが左、モブレーが右に配置され、どの曲もモーガンの勢いのあるトランペットと、モブレーの朗々としたテナーサックスの競演にティモンズの転がるようなピアノが彩りを添えるのが基本的な楽曲進行で、ブレイキーはドラムソロをドカドカ披露するというよりも、各演奏者を鼓舞するような合いの手的なリフを入れる曲が多いのですが、未発表曲「JIMERICK」では長尺のソロも披露しており、このソロ直前の「来るぞ来るぞ〜」的なタメがベタながらとても良いです(笑)。
 ティモンズのピアノのラインを追いかけて聴くのが楽しいもう1曲の未発表曲「QUICK TRICK」は5分弱、他の曲もスタジオ録音ということもあり、ラストのタイトル曲「JUST COOLIN'」以外は6分半前後の曲で比較的コンパクト。熱いソロが繰り出されるライブ録音盤がメッセンジャーズの醍醐味であり、それに比べると(彼らにしては)随分スマートに演奏してるな、という印象なのですが、収録時間約40分、1曲ごとの適度な長さもあってちょうど集中して聴ける演奏時間なので、繰り返し聴いても飽きないような耐久度を持ったアルバムと呼べるでしょう。

 今回のリリースにあたってはクレジットにマスタリングエンジニアとしてバーニー・グランドマンの名前が明記され、音質は今から約60年以上前のマスターを現代においても特に違和感なく聴かせる仕上がり。2020年の今日に至るまでなぜ陽の目を見なかったのか、というのは録音約一ヶ月後のライブで本作の収録曲の大半を演奏した音源が、後に2枚のアルバムとして発売されたから…という当時の状況があったようで。それを差し引いてもここまで眠らせておくには惜しい完成度の作品であり、ジャズ・メッセンジャーズ愛好家には必聴の1枚ではないでしょうか。

2020年08月01日 21:25

gundam40th2 2019年12月11日発売、ガンダムシリーズ放送開始40周年を記念したプロダクトの一つ、DJシーザーによる歴代ガンダムシリーズ主題歌のミックスCD第2弾。

 コンセプトとしては同年4月にリリースされた第1弾の延長戦的な本作ですが、ジャケットは歴代のガンダムがズラリと並んだ前作とうって変わり、シャア専用ザクを筆頭に各作品のライバル機や敵の親玉(笑)が不規則に並んだガヤガヤっぷり。そして内容に関しても、ほぼ作品の顔的な主要オープニングテーマを選び尽くした感があった前作と対になるかのように、普段あまり陽の目の当たらないオープニング(後半話数の主題歌など)やエンディング、番外編的な映画の主題歌などファンは知ってるけど一般的には知名度はそれほど…な楽曲を取り揃えるなど、前作と好対照。これらの曲を40曲、ほぼ1コーラス程度、約67分に渡ってノンストップで収録しています。

 選曲は40周年の前半にあたる20世紀までの楽曲は40曲中12曲と、後半年代の21世紀以降の曲が圧倒的で、第1弾よりもバランスが偏りがち。まあこれは20世紀作品の映画を含む主題歌が前作で大体出尽くしてしまった一方、1クールごとに交代する傾向のある21世紀以降の作品主題歌のストックはまだ潤沢にあるから、という理由なのかもしれませんが、それもあって懐かし需要的要素は比較的薄く、「ガンダムNT」や「ガンダムUC RE:0096」といった最近の作品からのセレクトもあって、全体的には割りかしマニアックな印象を受けました。
 前作と変わらないのは、ポップ色の強い80年代、それにロック色が加わり後半になるとデジタルサウンドに移行していく90年代、各アーティストの色に基本的にお任せしているようにも見える00年代以降と、各年代ごとのサウンドが行ったりきたりで流れが進行するのを聴く楽しさでしょう。ちなみに一番落差があって衝撃的だったのは中盤に出てくる「Meteor -ミーティア-」からの「永遠にアムロ」。同じバラードでもいかにも浅倉大介なデジタルサウンドの前者と、牧歌的サウンドの後者の対比には結構クラクラしました(笑)。

 前作の中盤であったセリフの引用演出は今回はないのかな?と思いきや、一番最後、40曲目の「めぐりあい」の序盤で待望の登場。使いどころの分かっている演出が嬉しいところです。総じて前作よりは敷居が高め、むしろ21世紀以降のガンダム作品がリアルタイム、という世代が懐かしむミックスCDかな、と思いました。さすがに玉を打ち尽くした感はあるので、第3弾は出ないとは思いますが、個人的には劇中挿入歌縛りの超マニアックなミックスCDもあったら面白いな、などと思っております(笑)。

2020年07月26日 13:21

boom 宮沢和史(Vo)、小林孝至(G)、山川浩正(Ba)、栃木孝夫(Dr)の四人組ロックバンド・THE BOOM。1986年結成、原宿ホコ天での活動を経て、1989年5月にCBSソニーよりメジャーデビュー。1993年のリカットシングル「島唄」のヒットで全国に知名度を広げ、「berangkat -ブランカ-」「帰ろうかな」「風になりたい」等がヒット。以降、数回のレコード会社移籍と活動休止、各自のソロ活動を繰り返しながら、2014年12月17日の日本武道館公演をもってバンド解散という歴史を辿った彼ら。今回の「CD Review Extra」では、彼らが残した全ベストアルバムを公認・非公認含めて1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2020年07月18日 22:14

hzettrioresola 2020年1月1日発売、H ZETTRIO通算5枚目のオリジナルアルバム。本編全12曲に加え、異なるボーナストラックを1曲ずつ収録する「DYNAMIC FLIGHT盤」「EXCITING FLIGHT盤」の2種でのリリース形態。本レビューは「DYNAMIC FLIGHT盤」となります。

 従来の彼らのリリースパターンは「シングル曲を4〜5曲先行配信し、数ヶ月後に未発表の新曲を交えたCDアルバムを発売する」というものでしたが、本作は2019年1月1日の「Journey」を皮切りに、毎月1日に配信シングルをリリース。それが1年分(=12曲)貯まった翌年の1月1日に全曲を網羅し、オリジナルアルバムとして発売、という新しい試みがなされています。「Birds Fly」は再録バージョン、「Z界のテーマ」はハンドクラップを追加したアルバムバージョンというオリジナルとの違いはあるものの、ボーナストラックも含めて全曲が既発曲。

 収録曲は「レソラ」「幻想ノスタルジック」などを筆頭に、基本的にはピアノ+ベース+ドラムスのトリオ編成でのノリの良い曲が多め。曲順は時系列ではなく、アルバムの流れを考えたようで、ほぼベースが主役の「NIRE The Bassman」を序盤に、ミディアムの「Relax Time」を中盤に、途中までは熱量のある演奏なのに最後のほうで緩いラップが入る(苦笑)「Z界のテーマ」を中盤明けに配置。これらはシングル曲ながら「アルバム曲っぽい楽曲」なので、他のキャッチーな曲に挟まれることでアルバムの良い緩衝材になっており、全体のバランスを取るのに一役買っている印象です。元々押しの強い演奏が持ち味(?)の彼らですが、各シングル曲を1枚のアルバムに纏めるにあたって前述の工夫が見られ、緩急の付いた構成で比較的聴きやすいのはポイント高め。
 ちなみに「DYNAMIC FLIGHT盤」のボーナストラックは、1曲目の「レソラ」のライブバージョン。原曲は途中からキーボードが入ってくるのですが、このバージョンは正真正銘のトリオスタイルで演奏の違いを楽しめるトラック。なお「EXCITING FLIGHT盤」には2018年7月の配信シングル「Make My Day」が収録されています。

 …ということでH ZETTRIOの2019年の全音源をCDにまとめて一気に堪能、という点では有意義なアイテム。ただ、せっかくのCDパッケージなのだから新曲を1〜2曲ぐらい入れてくれれば…などと思ってしまうのですが、前述のバージョン違いを考えなければ全曲配信購入済(1曲各200円)の場合の総額とCD1枚の価格はそんなに変わらないし、配信で聴きたい人、CDで欲しい人のどちらかに特別な付加価値を与えるということもなくイーブンで、というのが彼らのスタンスなのかもしれません。
 そんな彼らは2020年に入っても毎月1日の配信シングルリリースを続行。何でも2020年末まで24ヶ月連続配信に挑戦中とのこと。今年は音楽業界でもイレギュラーな出来事が相次ぐ年になってしまっていますが、完遂できることを願っています。

2020年07月16日 21:07

 先週末ですが、本ブログのユニークアクセスが140,000hitsを突破いたしました。
 これまで本ブログにご来場くださった皆様に感謝と御礼を申し上げます。
 開設してから12年と半年。開設当初は賑わっていた各ブログサービスサイトも徐々に淘汰されて今は…という状況に時の流れを感じますが、本ブログはこれまでもこれからも緩々とJ-POP作品を紹介していきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、開設12年半目にして初ですが、更新通知用のTwitterアカウントを作ってみました。とりあえず試験的に運用いたします。ご興味のある方はこちらからどうぞ。

2020年07月11日 16:50

perfumebest 2019年9月18日発売、同年メジャーデビュー15周年を迎えたPerfumeのオールタイム・ベストアルバム。CD3枚組全52曲収録。販売形態はCDのみの通常盤、特典映像入りのDVD/Blu-ray付きの初回限定盤、加えてスペシャルパッケージ、フォトブックレットも付属の完全生産限定盤、さらにアクリルフォトキューブ付きのアスマート/UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売盤と多種多様ですがCD盤の内容はすべて同一。本レビューは通常盤となります。

 メジャーデビュー初期の2006年にインディーズ期を含めたベスト、現在所属のユニバーサルに移籍した直後の2012年に古巣の徳間ジャパンから海外向けとして企画されたベストがそれぞれ発売されていますが、本作は初のオールタイムベストという触れ込みで、2005年のメジャーデビューから2019年までにリリースした楽曲を、レコード会社の垣根を越えてコンパイルした作品。DISC_01は未発表の新曲「Challenger」からスタートし、これまでリリースしてきたシングル全A面曲、各アルバムからの楽曲を時系列順に収録し、DISC_03の最後には先行配信されていた「ナナナナナイロ」を配置して締め、というメジャーデビュー以降のPerfumeの足跡を余すところなく羅列するという構成になっています。なお、シングル曲は「edge」「Magic of Love」のみアルバムバージョンでの収録。選曲にはメンバーも参加しており、かなりのボリュームですがこれでも収録し足りない曲もあったとのこと。

 さて、DISC_01から順に聴いてPerfumeの音楽的変遷を…と書きたいところですが、彼女達の場合はコンポーザーである中田ヤスタカによるプロデュースが変わらず続いていることもあり、時期によってはクールに徹したり、キャッチーな方向に行ったりを繰り返しながらも、15年間最初から最後までエレクトロサウンドが軸。よって曲調も極端には変わらず、どこから聴いても普遍的なPerfumeナンバー…という感想にどうしてもなってしまうのですが、各楽曲の安定性は抜群。この路線を長年続けて人気を保ち続けている稀有な女性グループとして、日本の音楽シーンの中では際立った存在である理由はこの安定感にこそあるのかも。

 個人的にはDISC_02の中盤あたり、「レーザービーム」「MY COLOR」、移籍直後の「Spring of Life」などポップ色が前に出ていた時期が一番好きかな、という感想ですが、かと思えば同ディスクの「FAKE IT」やDISC_03に収録の最新アルバムからの「FUSION」も好きだしと、こうやってまとめてPerfumeの曲を聴くのも久々だったのですが、懐かしさもあり楽しめました。それにしても代表曲「ポリリズム」はDISC_01の7曲目という早い時点で登場というのが驚き。前述の通り収録曲は時系列なわけですが、この曲は2007年作品。もうそんなに経ったのか…と時間の流れに遠い目をしそうになってしまいました(笑)。

 本作の発売当時のキャッチフレーズのひとつ「Perfumeの入門編」というキーワードを見た時は、「52曲もあるのに入門編?!」と思ってしまったわけですが、メジャー以降の全シングルを収録、アルバムからのピックアップも有り、しかも通常盤3,500円程度で彼女達の15年間の楽曲の美味しいとこどりどころかほぼ網羅的に手に入れられる、という意味では他のCDを集めなくてもこれ1作でも充分オッケーの入門編なのかも。オリジナルアルバムを聴くぐらいのリスナーには各シングル曲のシングルバージョンが一気に手に入れられるのもお得だし、熱心なコレクターには(値は張りますが)特製アイテムやブックレット付属の限定盤ありと、色々な層からのニーズにも応えられるベストだと思います。まあどのディスクも75分超えでギッチリ収録されているので、全部聴くのは正直大変でしたが(苦笑)、Perfumeの音楽史を一気に体感できる内容でした。

2020年07月04日 22:36

dj 2020年4月8日発売、DJ和の手により編集されたミックスCD。全32曲収録。

 既存音源を基に曲を繋げるミックスCDの著名ミキサーであるDJ和。そんな氏が本作では長戸大幸が創設した音楽制作集団・ビーイングの楽曲群のノンストップミックスに取り組んだ1枚。ブックレット末のDJ和本人のコメントから察するにビーイング発の企画だったようで、発売元もビーイングから、エンジニアや広報までビーイングのスタッフがクレジットされており、全32曲中実に23曲がビーイング関連の楽曲達。残る9曲は、DJ和がソニー所属のミキサーということもあって(?)か、ソニー関連の楽曲が並んでいます。

 楽曲収録年代は80年代後半から00年代初頭ぐらいまで。ビーイング側からはZARD、WANDS、大黒摩季、T-BOLAN、DEEN、FIELD OF VIEW、織田哲郎といった90年代序盤〜中盤のビーイング全盛期のアーティストの楽曲から、少し時代が下って倉木麻衣、小松未歩、GARNET CROWなどの90年代末以降のいわゆるGIZA勢までをフォロー。一方のソニー側からは、80年代中盤以降にブレイクしたTM NETWORK、渡辺美里、REBECCA、UNICORN、米米CLUBなどの錚々たる面々に加え、90年代末にヒットを飛ばしたSIAM SHADE、TRICERATOPS、the brilliant greenも名を連ねる選曲に。

 内容のほうですがミックスCDということで、どの曲も1コーラス程度が基本でマスターをほとんど弄らず似たようなテンポの曲を繋げて…というのが約1時間という、「往年のヒット曲をオリジナル音源のままダイジェストで聴いている」という感覚が最後まで続くのですが、DJ和については以前広瀬香美のベストでも似たような手腕でノンストップ仕様にしていたのを聴いていたこともあり、「この人のミックスCDってこういう感じだよな」というのは前もって知っていたのですんなりと聴けました。音の抜き差し、クロスフェード、再構築的な技術はほとんど使われていないので、こういったテクニック(というか工夫?)を求めるリスナーには明らかに不向きかもしれません。

 ほぼ原型のままのダイジェストCDを約2,000円…というのはちと厳しい価格設定のような気もしますが、前述の通りビーイングが全面的に制作に携わっており、ビーイングと縁のあるBIRDMAN MASTERINGの島田勝弘の手によるリマスターで昔の音源が迫力のある音質で蘇ったのは秘かな(?)セールスポイントでは。まあ当時も今も現役稼ぎ頭のB'zはこういうところでは呼ばれないとか、ソニーと協力しているならTUBEも入れれば…とか若干思うこともあるのですが(TUBEについては同氏によるミックスCDを単独で2枚同時出したばかりだそうで)ここまでビーイング黄金期の楽曲を取り揃えたミックスCDもなかなかないでしょうから、当時のヒットシーンを思い出しながら聴くという意味では面白いアイテムでした。

2020年06月27日 22:39

remio 地元・山梨の幼馴染である藤巻亮太(Vo&G)、前田啓介(Ba)、神宮司治(Dr)の三人によって2000年に結成されたスリーピースバンド・レミオロメン。インディーズでのリリースを経て2003年8月にメジャーデビュー、以降2012年2月の活動休止宣言までに5枚のオリジナルアルバム、2枚のライブアルバム、1枚のベストアルバムをリリース。今回の「Artist Archive」では、彼らが2008年末まで在籍したビクター・SPEEDSTAR RECORDSよりリリースされたアルバム全5枚を1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2020年06月20日 21:50

eac7 2020年1月22日発売、→Pia-no-jaC←のクラシックカバーアルバム第7弾(公式表記では通算18枚目のアルバム)。全6トラック・7曲収録。初回限定盤、ヴィレッジヴァンガード限定盤、タワーレコード限定盤にはそれぞれ別の内容のライブDVDが付属(収録曲は全仕様同一)。本レビューはCDのみの通常盤となります。

 リスナーからリクエストを募り、著名なクラシック曲を彼ら流に仕立て直す「EAT A CLASSIC」シリーズ。ナンバリングを重ねる毎に原曲の壊し方がどんどん過激になる傾向は「〜5」辺りで極まった感があり、ジャケットデザインを一新した「〜6」ではアレンジ面でもやや落ち着いた印象がありましたが、今作は前作よりもより原点回帰…というか、どの曲も原曲を極端に崩さずにメロディー部分を尊重した「整った感じ」に統一してきたのが特徴でしょうか。

 以前にも書いたように、ともすればオリジナル部分が原曲パートを食ってしまうような構成も目立つ楽曲も過去にいくつかあったのですが、今回選ばれた7曲に関しては原曲そっちのけでやりたい放題、叫びたい放題(苦笑)という曲はなく、静と動を繋ぎ合わせた組曲風の「ラプソディ・イン・ブルー」、ボサノヴァ調アレンジの「月光ソナタ」、口笛パートも取り入れ軽快な「別れの曲」など、意表をつくアレンジもありつつも演奏自体はあくまで正攻法。正直どこでアバンギャルドすぎる演奏が飛び出してくるかと結構身構えていたのですが、これといった壮絶な展開はなく聴き終わりました(笑)。

 これまでのシリーズの「崩し」を楽しみにしていたリスナー層にとっては「もっと過激に!」という不満の声もあるかもしれません。ですが、第7弾まで続けてきたこの時点で初心者でも安心、シリーズ入門編的な作品が登場するのは却って新鮮かも。収録曲もいつもに増してポピュラーなラインナップだと思いますし、初→Pia-no-jaC←体験にもお薦めだと思える佳作でした。

2020年06月13日 21:50

TUTUDTC 2020年4月21日発売、TM NETWORKのボーカル・宇都宮隆がソロ活動として昨年の秋に開催した「Tour 2019 Dragon The Carnival」のツアーファイナルとなるZepp Tokyoでの11月10日の公演の模様を全曲収録したライブBlu-ray。一般発売とは別に、特典映像等を加えたファンクラブ限定盤も期間限定での受注生産として同時期にリリース。本レビューは一般発売盤(通常盤)となります。

 2019年はTMデビュー35周年…というのは本ブログに来訪されている方は重々ご承知だと思いますが(笑)、現状ではメンバー三人のうち、リーダーである小室哲哉が芸能界を引退しているということもあり、メモリアルイヤーの展開は過去の映像作品集やファン投票のベストアルバムぐらいに留まり、ユニットとしての稼働は無しのまま終わってしまいました。そのフォロー…という言い方も変ですが、宇都宮が「僕なりの35周年」として、ソロ名義でTMの楽曲を取り揃えたライブツアーを敢行。サポートミュージシャンはかなり珍しい編成(前回のツアーからのようです)で、キーボードが土橋安騎夫浅倉大介nishi-kenの3名、ギターが北島健二という、それぞれTMや宇都宮ソロに関わった経験のあるメンバーが集結し、全国7都市12公演(+翌年2月の追加公演)を回ったそうです。

 選曲は各サポート陣のソロコーナーを除くと、全曲がTM楽曲。ツアータイトルの原型でもある「Dragon The Festival」を筆頭に、SONY、Rojam、R&C、そしてavexという全活動年代からの楽曲を万遍なくチョイス。TMのライブでの定番の「Be Together」「Love Train」「Seven Days War」「I am」といったヒット曲・代表曲を要所に配置しながらも、「クロコダイル・ラップ」「Fantastic Vision」などの初期曲、宇都宮も鍵盤演奏に参加したマイナーキネバラ「We Are Starting Over」、更にさわりの部分だけとは言え「WELCOME BACK 2」等々、コアなTMファンが喜びそうなマニアックな曲も披露され、全時代のファンが楽しめるような内容になっているのが好ポイント。

 バンドとしての形態は前述の通り特殊であり、必要に応じて舞台中央後方にある簡易的なドラムセットで主に北島が演奏する曲もあるのですが、基本的にはリズム隊は打ち込み+三人のキーボーディストのプログラミングを含めた音+生ギターという編成で、生バンドでの演奏を体感するのに慣れた身からすると最初のうちは違和感は否めなかったのですが、鑑賞しているうちに「こういうのもアリかもな」と思えるほどの各鍵盤奏者の熱演が見所。ライブ全体としてはカーニバル小屋(?)に見立てたテントや、神出鬼没のパントマイマーのパフォーマンスなど、ストイックだったTM30周年の演出とは異なる賑やかな雰囲気で進行していく「宇都宮隆 feat. TM NETWORKというお祭り」といった印象を受けました。

 映像の最後には「Message from Tetsuya Komuro & Naoto Kine」というチャプターが。この公演に訪れた小室と木根尚登のそれぞれのライブ感想のコメントが短いですが収録されています。特に表舞台から姿を消した小室の最近の様子が見られるのは嬉しい(髪型の変貌が凄かったですけど・笑)一方、本来であればこの三人で集まって何かやってくれたんだろうなぁ…と思うと複雑な心境。ただ、コメントを聞く限りではまだ次の一手を考えてるんじゃないかな?と思える発言もあったりで、ファンとしては気長に待つしかないですね。TMの代替…というと失礼な発言になるかもしれませんが、ウツには本当に感謝の35周年でした。

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