hirosetop 1993年12月リリースのシングル「ロマンスの神様」がアルペンのCMソングに起用されミリオンセールスを記録。以降90年代末まで毎年冬になるとヒットを飛ばし、いつしか「冬の女王」と呼ばれるようになった広瀬香美。今月末には来年初頭に開催のセットリスト順にオリジナル音源を並べた新たなベストアルバムも発売されるとのことです。
 今回の「CD Review Extra」では、冬に向かうこれからの季節に合わせて(?)彼女のこれまでに発売してきたベストアルバムを1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。
広瀬香美 全ベストアルバムレビュー


THE BEST "Love Winters"
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 1998年11月11日発売、「冬が来るたび、好きになる」をキャッチコピーに冠した初のベストアルバム。全12曲収録。初回限定盤はモコモコの白い毛皮コーティングの特殊ジャケット仕様。
 1stシングル「愛があれば大丈夫」から、当時最新の「Groovy!」までのシングル曲から、「ロマンスの神様」を筆頭にヒットシングルを時系列順に10曲収録。この時点までのアルペンのCMソングはすべて収録、また、オリジナルアルバム収録の際にはほぼバージョン違いだった各曲が、ここで初めてシングルバージョンで収められている(今回も含めベストでも基本的にアルバムバージョンが採用される「DEAR...again」を除く)。
 選曲漏れしたヒット曲「ドラマティックに恋して」、この直後にヒットした「ストロボ」を除けば広瀬香美の代表曲を一気にまとめて聴ける美味しいアイテムだった。またラスト2曲の「幸せになりたい」(内田有紀への提供曲のセルフカバー)「Always I Need」(新曲)はこのアルバムでしか聴けない。ベストということもありミリオンセールスを記録しているので、現在中古ショップで廉価で最もお目にかかれるベストアルバムであり、上記2曲のためにお安く購入するのもアリかと。


THE BEST Love Winters -ballads-
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 2001年11月8日発売、バラードベストアルバム。全15曲収録。初回プレスのみホワイトケースに入ったスペシャルパッケージ仕様。
 前作ベスト以降のバラードシングル「I Wish」「Search-Light」「黄昏」、「DEAR...again」の原曲「Dear」、オリジナルアルバムやカバーアルバムからの選曲に加え、アカペラバージョンの「ロマンスの神様」、ボサノババージョンの「promise」を新録するなど、結構手の込んだ内容。バラードベストという性質上、ヒット曲集的な他のベストとはかなり趣が異なり独自性がある。アナザーサイドの広瀬香美に触れたいならばお薦め。
 なお、2007年2月には前作と本作をカップリングした2枚組CDがリリースされている。


Alpen Best
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 2007年12月5日発売、アルペンCMタイアップ曲に特化したベストアルバム。全15曲収録。
 この年「ロマンスの神様〜弾き歌いVersion〜」が広瀬楽曲として久々にアルペンのCMソングに採用。そんな折にリリースされた、ここまでのメドレーシングルを除く全アルペンタイアップソング15曲を時系列順に収録。「ストロボ」「恋のベスト10」「BEGIN〜いくつもの冬を越えて〜」はシングルバージョン初収録、「Velvet」「月の下で逢いましょう」はアルバム初収録。王道の90年代楽曲、実験ソングも含めた00年代楽曲も含めて一気に聴けてしまうので、現時点においては本作でしか聴けない曲はないものの、彼女の1枚モノのベストアルバムとしては本作が最も優れていると思う。


タイアップコレクション 〜広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達〜
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 2009年12月16日発売、タイアップ楽曲を対象にしたベストアルバム。全15曲収録。
 「夏だモン」のシングルバージョンが発売から12年の時を経てアルバム初収録。今回はドラマ、CM、映画のタイアップの中からの選抜。とはいえ「Alpen〜」以降のアルペンのCMソング「冬のモチベーション」「とろけるリズム」も含めてアルペン関係がほぼ半分を占める構成なのは既視感が。ここでしか聴けない曲もないのでベストの中では最も後回しにしていい1枚。


SINGLE COLLECTION
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 2011年11月23日発売、文字通りのシングルベスト。2枚組全29曲収録。
 メドレーシングル以外の全シングルA面曲を収録。今まで外されまくってきた「ドラマティックに恋して」や、常にベストではアルバムバージョンが選ばれてきた「DEAR...again」のシングルバージョンは遂にベスト初収録。他、サンリオの企画色の強かったハローキティのタイアップソング「Only One〜オンリー・ワン〜」もアルバム初収録になるなど、機械的にシングルを収録というコンセプトならではの通史感がある。
 本作でしか聴けない楽曲は2枚目のラストに収録の「笑顔の女神様」「フリーダム」。時系列順の収録なので意図したわけではないだろうが、1枚目はヒットを狙った王道、2枚目は非売れ線に走った(曲によってはカオスな?)雰囲気と、受ける印象が結構異なる。音楽性変遷のヒストリー的に聴きたいリスナーにお薦め。


Winter High!! 〜Best Of Kohmi's Party〜
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 2014年12月3日発売、「ハイトーン・ハイスピード・ハイテンションな楽曲を集めた冬のパーティーベスト盤」という煽り文句のベストアルバム。全15曲収録。
 上記の通りのハイテンションな楽曲が間断なくズラリ居並ぶノリ勝負のベスト。とはいえ彼女のヒット曲はアッパー路線のものが大半なので、選ばれる曲も必然的にこれまでのベスト同様…という点は否めず真新しさは全くない。ラスト3曲「Friday Call Me」「Snow Fall」、そして「運命のクリスマス」(これはボーナストラック扱いのバラード)は本作のみの収録。車でスキーに向かう道の途中でテンションを上げるために流すことを企図したような作品。


THE BEST "1992-2018" + "雪"Setlist Non-Stop Mix
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 2019年1月23日発売、初の3枚組ベストアルバム。初回限定盤はLPサイズジャケット仕様。
 DISC1、2は2011年の「SINGLE COLLECTION」のほぼ焼き直し。「愛はバラード」「DEAR...again」はアルバム収録バージョンに変更されているなど微妙なアップデートがある。アルバムの新曲はDISC1のトップに「歌いたいわ」が収録。DISC2の最終盤に「ロマンスの神様 2018」「出会いの奇跡を大切に」等、近作の配信シングル等が収録されている以外は既視感ありありで特筆すべき点はない。
 DISC3はDJ和によるノンストップリミックス。当時開催されたツアーのセットリストを既発音源でメドレーにしたという斬新なディスクであるが、オケに手を入れたリミックスを期待して聴くと肩透かしになるので注意。


【番外編】広瀬香美 BEST HIT
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 発売時期不明(CDケース裏面には2014年の表記あり)、主に高速PA等でのCDの販売を行っている株式会社トレドよりリリースされたベストアルバム。全16曲収録。
 如何にも非公認といったジャケットデザインで、本人の公式サイトでも掲載されていない。選曲は「SINGLE COLLECTION」からの抜粋で、代表曲のいいところ取りといったところ。当然本作でしか聴けない曲はなく、定価2,500円+税と廉価ベストとは言い難い金額なのでお得感もイマイチ。