going20th 2018年12月12日発売、通算3作目となるGOING UNDER GROUNDのベストアルバム。2枚組全30曲収録。

 メジャーデビュー5周年時、武道館公演を目前にしての2006年に1作目、CDデビュー10周年時の2008年に2作目のベストアルバムを、当時所属のビクターからそれぞれリリースしている彼ら。その後、五人いたメンバーのうち二人が脱退、レコード会社を移籍、さらにインディーズに移行し、所属事務所からも離れるという激動史を経て新体制となって約10年。通常のリリース活動やライブの他にも特設サイトを作り、初期作3枚のセルフカバーアルバムを制作するなど精力的に活動を続けてきた2018年の締めくくりとして、ファーストCD「Cello」のリリースからちょうど20年を経た12月12日に20年間の活動を総括したオールタイムベストをリリース。ビクター、ポニーキャニオン、インディーズレーベルといったレーベルの枠を超え現メンバー三人が選曲、加えて今まで一般流通されていなかった「parade」「Winding Road」の2曲が初CD化。全曲リマスター仕様となっています。

 収録順は時系列順。DISC 1は1998〜2006年の途中までを選曲。この収録範囲は過去の2作のベストと完全に被っており、3曲目の「グラフティー」以降は本作同様メンバー選曲だった1作目のベストとほぼ重複の内容なので正直真新しさはなし。それでも1曲目の「チェロ」のいかにも当時のインディーズ、といった演奏・歌唱技術の荒々しさからのスタートから、メジャーデビューを果たすと共に楽曲も演奏もどんどん垢抜けていき、今でも一般的にも彼らの代表曲と呼ばれ続ける「トワイライト」、かつて呼ばれた青春センチメンタルバンド(?)ド直球の「ダイアリー」「ハートビート」「サンキュー」「同じ月を見てた」、最大ヒットの「STAND BY ME」あたりが連発される中盤からの流れは最高。後年ボーカルの松本素生はこの辺りの曲をインタビューで「一番売りに走っていた時期」的な発言をしていて若干ショックだったのですが(苦笑)、それでも本作では選曲してくるあたり、彼らの歴史上大事な曲だということなのでしょう。ベスト初収録となった5thアルバム曲「パスポート」もシングル級の名曲だと思っていたので、この機会に陽の目を見て個人的に嬉しいところです。

 DISC 2は2006年の途中から2017年までを選曲(2018年のシングルやアルバムからの選曲はなし)。こちらは万遍なく選曲していたDISC 1とは異なり、キーボードの伊藤洋一が在籍していた2009年春までの3年間(1〜5曲目)と、四人編成時代の2015年初頭までの5年間(6〜8曲目)、ドラムスの河野丈洋が脱退して三人になったそれ以降3年間(9〜15曲目)と、四人時代あまりに選ばなさすぎ、三人時代選びまくり、という偏ったラインナップ。四人時代の選曲がポニーキャニオン移籍1年目のシングル2作(+今回初収録の「Winding〜」)のみというのも極端っぷりに拍車をかけている印象がしてしまうのですが、これもメンバーにとっては近年のインタビューで度々発言している「四人時代は辛いことが多すぎて思い出したくないようなことばかり」(大意)だった時期だそうなので、メンバーが主観的に選曲したという要素が最も色濃く出ている部分だと思いますが、筆者としては末光篤とのコラボなどは好印象だったので選曲漏れしてしまったのは残念。とはいえ新体制後の初シングルでアルバム初収録となった「もう夢は見ないことにした」を始め、「Teenage last」「あたらしい」といったアルバムリード的な佳曲はしっかり選ばれており、現状のゴーイングの順調さを見せてアルバムを締めた点は良い流れですし、帯にあった「入門編としても完璧!」という煽り文も(メンバーにとっての迷走期をカットしたという意味で)納得の内容になっていると思いました。

 以上のように選曲的にはメンバーの意志が読み取れるベストアルバム。歌詞ブックレットには現メンバーの下に「ex.GOING UNDER GROUND」として伊藤・河野の両名の名前が記載してあったり、彼らの脱退後にレコーディングに参加した橋口靖正(故人)をはじめとしたミュージシャンの名前があったりという配慮が嬉しい一方、クレジットの誤植(「Teenage last」の歌詞が…)が見受けられるなどアチャーな部分も見受けられる(2作目のベストの時もやらかし誤植の前歴あり)のが玉に瑕?イメージとしては1作目のベストのやり直し拡大オールタイムという感じなので、これからゴーイングを聴きたい人には現時点では一番適したアイテムだと思われます。