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 2018年11月21日同時発売、1988年、1991年にそれぞれ発売されたASKAのソロアルバムをリミックス・リマスター、高音質UHQ-CD仕様で再発したある意味「新譜」の2枚のオリジナルアルバムを今回は1エントリーでご紹介。

 チャゲアスの活動と並行しながらソロ活動を行っていた当時のASKAが、先行シングルを含む新曲+過去に作家として提供した楽曲をセルフカバー、という形でアルバムとしてリリースしていた2枚の「SCENE」シリーズ(シリーズとしては2005年に第3弾がリリースされましたがそちらは純粋なASKAのソロアルバム)。どちらも何度か再発されましたが、リマスター「だけ」をされたのは2005年の1回のみ。今回は「Producer for Remix」という肩書きでASKAの名前が、そしてリミックスエンジニア(2枚とも担当者が別)、マスタリングエンジニア(こちらは同一)の名前がそれぞれ表記。ASKAが監修して各エンジニアが作業を行った、という行程だったようです。ジャケット写真も新撮、遡ること一ケ月前の2枚のベストアルバムと同じデジパックジャケットと、2作品とも体裁は同一。なお、「SCENE」には今回ボーナストラックとして、アルバム未収録だったカップリング曲「大人じゃなくていい」がリミックスされてラストに追加収録で、こちらはCD音源化としては初収録になります。

 そのリミックスに関しては、原盤の演奏を抜き差ししたり、演奏時間を増やしたりするわけではなく、曲のサイズは原型のまま各楽器の鳴り具合や聴こえ方のバランスを変更、一番分かりやすいところではボーカル、ドラムにかかっていたリバーブをだいぶ薄くし、現代風に調整した、といったところ。例えば「SCENE」では「MIDNIGHT 2 CALL」では冒頭の秒針の音をカット、サビのハモリコーラスの音量を上げ、途中から入ってくるエレキギターの音も強めに。「SCENE II」では「けれど空は青〜close friend〜」で全体的にかけられた重厚なリバーブをほぼカットして各楽器の分離をはっきりさせた、などの違いがあります。リミックスといっても極端な変更は一切なく、原盤から時代性を取り除いた、という意味で純粋に音の違いを楽しむアルバムと言えるでしょう。

 ただ、どちらの作品も収録楽曲は全曲ほぼバラード尽くし…という、チャゲアス本体とASKAソロとの一線を引いていた時期らしいアルバムで、これ以降のASKAソロでの「ひとりチャゲアス」状態のアルバムと比べると敷居が高め。「SCENE」では6曲目のタイトル曲あたりで、「SCENE II」では「けれど空は青〜」が2曲目にしてクライマックス感が満載なので、両アルバムとも1枚通して聴くのがちょっと辛い、という感想は原盤もリミックス盤も同様(苦笑)。元々コア向けだったと思われるアルバムなので、直近のベスト等を聴いてASKAソロに興味を持ったライトリスナーが次にこれを聴くのはあまりお薦めできないかも、と思いました。