access8 TMNのサポートメンバーとして実績を重ねていたキーボーディスト・浅倉大介と、彼のソロアルバムでのゲストボーカルでの参加をきっかけに知り合ったシンガー・貴水博之。この二人がユニット・accessを1992年に結成。その後、活動休止、各ソロ活動を経て再始動し、現在は断続的に活動を続けて今年で結成27年目を迎えます。今回の「Artist Archive」では、彼らが最も精力的に活動していたファンハウス在籍期(1992〜1995年、非公認作はそれ以降も)にリリースした全アルバムを一気にレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。
access ファンハウス時代全アルバムレビュー


FAST ACCESS
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 1993年2月25日発売のデビューアルバム。全11曲収録。初回限定盤は通常盤よりページ多めのフルカラーブックレット仕様で、それに対応した少し厚めのCDプラケース仕様。
 前年11月のデビューシングル「VIRGIN EMOTION」、本作に先行して発売された2ndシングル「JEWELRY ANGEL」(DEEP AXS MIX)を収録。彼らのテーマソング的な「LOOK-A-HEAD」、熱唱バラード「PALE BLUE RAIN」、アダルト系の「AGAINST THE RULES」など、浅倉のデジタルサウンド+貴水のハイトーンボイスを活かしたaccessの方向性が早くも固まったアルバムで、デビュー作ながら完成度はかなり高い。ちなみにアルバムタイトルは「ファスト・アクセス」ではなく、「ファースト・アクセス」と読む。


ACCESS II
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 1993年9月22日発売、2ndアルバム。全11曲収録。初回限定盤には2枚のポストカードが封入。
 前作からわずか7ヶ月というハイペースでの二作目。シングル「NAKED DESIRE」「MOONSHINE DANCE」はリミックス(THE ENTERPRISE MIX)で収録。基本的には前作の踏襲に加え、より煌びやかなサウンドメイクをアルバム全体に施し、ゴージャス感漂う1枚。冒頭の「NIGHT WAVE」に続いてシングル2連発、濃厚バラード「I SING EVERY SHINE FOR YOU」までの流れがとにかくインパクト大で、これ以降の曲も「REALTIME LOVER」「JULIET」など派手な音作りの曲が続くので集中して通して聴くと結構体力を消耗してしまうのが欠点(?)。本作の正式な読みは「セカンド・アクセス」。


DELICATE PLANET
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 1994年5月25日発売、3rdアルバム。全12曲収録。初回限定盤は「FAST ACCESS」同様のフルカラーブックレット仕様。accessの全作品で唯一オリコンチャート1位を記録している。
 「TRY AGAIN」「夢を見たいから」「MISTY HEARTBREAK」の先行シングル3枚に加え、本作と同時発売のシングル「SWEET SILENCE」の各楽曲はリミックス(West Side Mix)での収録。12曲中シングル関連曲は6曲とハーフベスト状態だが、クールな雰囲気の「SILVER HEART」、ピアノ+ストリングスのバラード「STAY MY LOVE」、「夢を見たいから」直系の「FIND NEW WAY」、曲中で貴水がラップ(?)も披露する「BEAT PLANET」など、本作はアルバム曲が(accessサウンドの範疇という中ではあるが)バラエティ豊か。1枚を通してのバランスの良さは全オリジナルアルバム中、本作が随一かも。なお、ここまでの3枚のアルバムは2013年に旧ファンハウスの権利音源を扱っているSONY MUSIC DIRECTよりリマスター再発されている。


LIVE ZEROS/LIVE ONES -SYNC-ACROSS JAPAN TOUR '93-'94-
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 1995年3月15日2作同時発売のライブアルバム。各12曲ずつ収録。
 この年の年明けに「沈黙」(活動休止)を発表。本作までがファンハウス期の公認作品となる。1993〜1994年に開催された4つのライブツアーから選りすぐりの音源をピックアップしてライブ仕立てにするという、1992年にTMNがリリースした「COLLOSSEUM」を彷彿とさせる(2枚同時発売なのも一緒)疑似ツアーアルバム。
 2枚合わせると、ここまでリリースされた全シングルや結成前に貴水が参加した浅倉ソロ名義の「COSMIC RUNAWAY」(本作発売の約一ヶ月前にスタジオ音源がシングルカット)のライブ音源が全て揃うが、シングルの大半は「ONES」に収録。対して「ZEROS」はアルバム曲中心(「ACCESS II」からは5曲も選曲)と、ヒット曲盤/マニアック盤という性格の違いがある。スタジオ音源では味わえないドラムなどの生演奏、レコーディングでは無機質に歌っている貴水が感情を露わにしてオーディエンスを煽るなどのライブならではの迫力が楽しめる作品である。


AXS SINGLE TRACKS
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 1995年10月1日発売、非公認ながら初のベストアルバム。全13曲収録。スペシャルプライス2,500円(当時の税込)でリリースされた。
 デビューシングル「VIRGIN EMOTION」から、活動休止前の「TEAR'S LIBERATION」までの全シングルタイトル11曲に加え、アルバム未収録のカップリング曲「EVERY TIME YOU」「US」を収録。シングルバージョン初収録曲が7曲、「DRASTIC MERMAID」「SCANDALOUS BLUE」「TEAR'S LIBERATION」のいわゆる三部作シングルもアルバム初収録と、かなりお買い得なアルバムである。
 後に15周年、25周年にもベストが発売され、ファンハウス期のシングルは毎回全て収録されているので現在このアルバムでしか聴けないのはカップリングの2曲のみだが、accessの歴史をどれか1枚、ということならば本作を最もお薦め。なお、活動再開後の2002年の4thアルバム「CROSSBRIDGE」と同時発売でBMGファンハウスよりリマスターで再発されている。


AXS REMIX BEST TRACKS
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 1996年3月25日発売、「もうひとつのBEST TRACKS」と銘打たれたリミックスベストアルバム。全11曲収録。
 1994年にリリースされた4枚のリミックスマキシシングル「Re-SYNC STYLE」シリーズからの既発音源を6曲、シングルリリース当時にラジオでオンエアされていた「VIRGIN EMOTION」「NAKED DESIRE」の未商品化リミックス音源、加えて「LYIN' EYES」「COSMIC RUNAWAY」(2バージョン)の各リミックス(出所不明)により構成。原曲を若干いじった程度のリミックスから、ボーカルまで録音し直すなどのもはやセルフカバー的なリミックスまで、その度合いには幅があるが、基本的にはメロディーを潰さずに歌モノとしてオケを再構築しているので、リミックスアルバムとしては敷居は低く聴きやすい。
 なぜこの時期に非公認アルバムが企画されたのは謎だが、ファンハウスは決算期に過去所属アーティストのベストを頻発する(辛島美登里や永井真理子など)傾向があったのでその一環か。オリジナル音源でのベストではなくリミックスベストにした辺りは結構慧眼かも。


SEQUENCE MEDITAION -超電導思考回路-
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 1998年6月24日発売、「access特別企画」としてリリースされた非公認アルバム。全3曲収録。ブラックケースでの販売で、インナーに二つ折ペラ1枚のクレジット表記ジャケットが封入されている。
 1994年秋から冬にかけての三部作シングルの各カップリングだった「SEQUENCE MEDITAION -超電導思考回路-」の全三楽章を収録。各トラックの演奏時間は10分弱で完全なデジタルインストゥルメンタル楽曲であり、accessというよりも浅倉のソロワークに近い。どの曲も組曲の構成になっており、総演奏時間30分は聴き応えがあるが、特にタイアップがあったわけでもなくどのような意図で発売されたのかは前作に続いて謎。
 同日には浅倉・貴水単独での各ベストアルバム(浅倉サイドは非公認)も発売。現在のところ、access関連CDで非公認のものは本作が最後である。