ASKAFELLOWS ASKAMADEIN
 2018年10月17日より一般発売が開始されたASKAの2枚のベストアルバムを今回は1エントリーにてご紹介。発売に際してASKA自身が語ったインタビュー記事はこちらから。

 「We are the Fellows」はソロデビューして30年経ったのをきっかけにASKAが直接関与する初のベスト盤として企画され、2018年初頭に行われた公式サイトでのアンケートの上位1位〜13位をランキング順にそのまま収録した全13曲。当初は2018年3月12日より同サイトでの受注のみの販売でしたが、後に一般流通で販売されることもこの時点で言及されており、約半年後の10月17日にチャゲアスの2000年までの音源を販売しているYAMAHAより発売。その際に同時発売として、ASKAが選曲を担当し、提供曲のセルフカバー、新曲を含めた全15曲収録の「Made in ASKA」がこちらもYAMAHAよりリリース。両方とも黒を基調にしたデジパックジャケットに貼り付けられた白い歌詞カード、冒頭に詩の掲載、マスタリングエンジニアを含めて制作スタッフも完全に同一という、一対のプロジェクトの様相を呈しています。

 別々に見ていきますと、ファン投票ベストの「We are〜」は前述の通り順位がそのまま曲順ということで、いきなり冒頭に「けれど空は青 〜close friend〜」「月が近づけば少しはましだろう」という、激重バラードナンバーがワンツーを占めるという事態に(苦笑)。「はじまりはいつも雨」「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」といったASKAソロの二大代表曲、根強い人気の提供曲カバー「伝わりますか」、アッパーな「HELLO」、昨年の復帰第1弾アルバムからも「東京」「と、いう話さ」「しゃぼん」と、タイプの異なる3曲が選出されるなど、ファン投票とはいえマニアックな曲は選ばれず、ASKAのパブリックイメージ(音楽に関しての、です)に沿った選曲が成された模様。ただ、こちらのアルバム制作時にはユニバーサル在籍時の楽曲は使用の許可が下りなかったようで、もし収録範囲の13位内に選ばれていたら本作の発売はできなかったとのこと。また、シングル曲に関しては本アルバムにはシングルバージョンが収録され、「君が愛を語れ」のシングルバージョンはアルバムバージョンに慣れた身としては音の抜き差しの違いには新鮮な驚きがありました。たぶんオリジナルバージョンで聴いたのは25年ぐらいぶりなもので(笑)。

 対する「Made in〜」は、「We are〜」収録曲以外の楽曲からのASKAセレクト。時系列順に並んでいますが、冒頭の「MIDNIGHT 2 CALL」2010年のセルフカバーアルバムバージョンで収録というサプライズが。シングル曲では「ID」「ONE」といった「We are〜」未収録楽曲、またユニバーサル時代の「心に花の咲く方へ」(ファン投票15位)「UNI-VERSE」(同18位)の2枚のシングルもこちらでは無事に(?)収録。その他はASKAが選んだだけあって、世相を描いた「はるかな国から」、やさぐれ感満載の「Now」、スピリチュアル系(?)の「いろんな人が歌ってきたように」など、自身の主張が並んだ楽曲が集められた雰囲気を感じます。とはいえこちらもサウンド的には実験している等のアプローチはないので、詞のテーマの割りには結構ライトに聴けるかな、という感じ。コアなファン向けには新録として1995年に黒田有紀に提供した楽曲のセルフカバー「cry」、新曲の「メリーゴーランド」が聴きどころ。特に地元の友人達との思い出を描いた後者は筆者の心に響くものがありました。

 リマスター、高音質UHQ-CD仕様ということもあり、両方とも定価で買うと合計7,500円を超える…という規格外の価格はちょっといただけないのですが(苦笑)、かつての「ASKA the BEST」を近年の作品までフォローしたオールタイム決定盤ベスト、という意味では理想的な2枚。これからASKAに触れるリスナーには…まずはレンタルなどでお試しあれ。