pj10th 2018年4月4日発売、ピアノ×カホンのインストゥルメンタルユニット・→Pia-no-jaC←の通算2枚目となるベストアルバム。CD3枚組全43曲を収録した通常盤、加えて昨年秋の東京国際フォーラムでのライブの模様をDVD2枚組にて収録した初回盤の2種形態発売。今回のレビューは通常盤となります。

 2005年に結成した彼ら。2008年9月にCDデビューを果たしたということで、本ベストはタイトル通りのCDデビュー10周年を記念した周年記念ベスト。既に2011年に初ベストがリリースされていますが、今回はその続編ではなく、この10年間の中でリリースした数多くの作品の中からの選りすぐり(といっても40曲を超える重量級ベストですが…笑)。また、本作制作にあたって「組曲『 』」「花音」「Jack」「台風」という最初期作品は新たに録音、未発表の新曲として「Hoppin' Poppin'」「HAPPY」が収録されたりと、過去作を全て所持しているファンには嬉しいところ。

 さてこの10年の間、常に彼らのリリースローテーションの柱になっていたのはオリジナルアルバムとクラシック著名曲を独自の解釈で再構築する「EAT A CLASSIC」シリーズ。この二つを交互にリリースする合間に外部とのコラボ、ディズニー作品コンピ、ゲーム音楽コンピ、近年では映画サントラコンピなどを課外活動的にこなしてきましたが、本ベストではここまでのほとんどの各種アルバムから少なくとも1曲は選曲され、長年彼らの音楽を聴いている筆者も「この曲どのアルバムに入ってたっけ?」と確認するのが結構大変でした(苦笑)。
 ディスク毎に特にコンセプトを分けた、という体裁ではなく、オリジナル、クラシックカバー、その他のカバー、コラボ作品が満遍なく割り振られていて、どのディスクから聴いてもオッケー、いずれも独立した1枚ずつの名演集として成り立っています。収録楽曲はピアノとカホンの質量、岩肌に叩きつけられる荒波の如く(?)ダイナミックで情熱的な演奏が中心。切々と紡がれるバラードナンバーもわずかながらあり、配置の妙もあってここでひと息、といった感じ。

 筆者的には「台風 2018」「「クロノ・トリガー」より "風の憧憬"」「TASOGARE」「GHOST BUSTERS」辺りが収録されているDISC2が一番好み。3枚のディスクとも演奏時間70分超。前述の通り1枚ごとに完結しているので、3枚続けて一気に…というよりも、その日の気分で聴きたい曲が入っているディスク1枚を選んでトレイに乗せて…という聴き方がお薦め。それにしても、面白いことをやっているな、と聴き始めた→PJ←も早くも中堅の域なんですねぇ。今後も刺激的なサウンドで楽しませてもらいたいものです。