cityhuntersoundcollection 今回で40回目を迎えた「今週の1枚」。前にも書きましたが飽きっぽい筆者がよく週一で続けてこれたなと自分で思います(苦笑)。今週は第40回記念・・・というわけではないのですが、少し趣向を変えまして、第20回目以来のコンピレーションアルバムをご紹介したいと思います。タイトルは「City Hunter Sound Collection X -Theme Songs-」。2005年12月21日発売。

 タイトルを見てもお分かりの通り、このアルバムは、かつて週刊少年ジャンプで連載されていた、北条司原作の漫画「シティーハンター」のアニメシリーズのコンピレーション。1987年の放送開始からテレビシリーズは4作、劇場版シリーズは3作、テレビスペシャルとして3作と、頻繁にアニメ化された作品なのですが、意外なことに「主題歌集」として一纏めにした作品が出るのは実は今回が初めて(シリーズ毎の主題歌集や、スペシャルのサントラなどはありましたが)。これは多分、レコード会社の版権がらみの問題だったのではないでしょうか。
 今のところ最新のテレビスペシャルが1999年。その時も期待したのですが何もなく(笑)そのまま時間が経過していたのですが、2005年になり、アニメシリーズ全作のDVDボックスのリリースに合わせて、ようやくすべての主題歌音源が一堂に会する機会が生まれ、ファンとしては待望のコンピレーションアルバムの登場となりました。

 そんな本作は2枚組。「DISC 1」はテレビシリーズ「1」「2」「3」「'91」の各オープニング、エンディングテーマを全11曲収録。「シティーハンター」の主題歌の代名詞とも呼ばれている(?)「Get Wild」(TM NETWORK)ももちろん収録されていますが、改めてざっとアーティスト名を眺めてみると、TM以外にも、大沢誉志幸、PSY・S、岡村靖幸、FENCE OF DEFENCE、鈴木聖美・・・などなど、80年代後半に活躍した、ソニー系列のロック系アーティストの宝庫とでも呼べる顔ぶれが並んでいます。
 当時はアニメソングといえば作品のキーワードや主役メカなどが具体的に盛り込まれた主題歌がまだ多かったご時世だったのですが、本作に収録されている曲たちはあくまで「シティーハンター」のイメージや、作品の雰囲気を重視した歌詞にとどまり、アニメというひとつのジャンルで括ることなく、一般の音楽シーンでも十分に通用する作品が多く採用されていると思います。

 曲のタイトル名にばっちり作品名が入ってる「City Hunter〜愛よ消えないで〜」(小比類巻かほる)は例外として^^;。ハードボイルドな世界全開の「ゴーゴーヘブン」(大沢誉志幸)、主人公・冴羽獠の心情の奥底を歌った(?)「SUPER GIRL」(岡村靖幸)、ヒロイン・槇村香をイメージしたような「ANGEL NIGHT〜天使のいる場所〜」(PSY・S)などなど、名曲が勢ぞろい。また、オープニング、エンディングアニメーションも各作品秀逸な出来で、「SARA」(FENCE OF DEFENCE)、「RUNNING TO HORIZON」(小室哲哉)などは今でも曲のイントロを聴くとオープニングアニメーションを連想してしまうぐらい、曲と画面がぴったり一致していた、幸せなタイアップの一例だったと思います。

 「DISC 2」は、劇場版作品とアニメスペシャルの各テーマ曲集に、ボーナストラック1曲追加の全10曲。こちらは毎週のように流れる「DISC 1」とは違って、あくまで一作品一回きりしか流れない、ということもあり、あまり強く印象に残っている曲は少なかったりします。sex MACHINGUNSの「illusion city」がスペシャルのオープニングに採用された時は色んな意味で驚きましたが(笑)。
 起用されているのはアン・ルイスや高橋真梨子といった実力派シンガーから、元BARBEE BOYSのKONTA(そういやこの人も元ソニー系列?)、荻野目洋子など多種多様。作品とのイメージ一致という点ではテレビシリーズの作品群と比べるとやはり敵わない点は否めませんが、「週末のソルジャー」(金子美香)みたいなキャッチーなポップソングあり、「十六夜」(高橋真梨子)のような艶っぽいバラードあり、NAHOによる「GET WILD」のカヴァー(CITY HUNTER SPECIAL'97 VERSION)もありと、統一感はないものの、曲単体で楽しめる曲が多く収録されています。シティーハンター色で固められた「DISC 1」とはまた違った魅力が感じられる内容です。

 このアルバムと同時に、挿入歌集「Y」(「EARTH〜木の上の方舟〜」は名曲!)と、新録ドラマCD「Z」も発売され、一気に内容が充実した感のある「シティーハンター」の音源集。その中でも主題歌集ということで、一番とっつきやすいのはこの「X」でしょう。良い曲がたくさん採用されたなぁ〜と思うのは、ファンの贔屓目かもしれませんが(苦笑)、「シティーハンターが好きだった!」という往年のファンの方々にもう一度聴いてもらいたい作品であるのと同時に、80年代後半〜90年代前半にかけての音楽シーンの空気をパックした、秀逸な作品集でもあると思います。レコード会社の壁を越えて、今回の企画を立ち上げてくれたプロジェクトの皆様には心底感謝!!